年代を問わず魅了するLUNA SEA。アップデートされる音楽とバンド。~「SEARCH FOR MY EDEN」レポート

聖なるクリスマスが目前に迫った2018年12月23日、さいたまスーパーアリーナはサンタクロースとは程遠い出で立ちの人で溢れかえった。上下黒の服装に身を包み、足元は重めのブーツ。レッドやブルーのカラーが映える長髪には、濃いめのメイクがアクセントとして利いている。その光景は、さながら1993年。POPすぎると賛否両論を生んだアルバム『EDEN』が発売された、あの日を見ているようだった。それもそのはず、開催された「LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary-SEARCH FOR MY EDEN」は、25年前に行われた全国ツアーと同じタイトルを冠にした記念すべき1日だったのだから。

場内の照明が落ちると歓声が響き、さいたまスーパーアリーナを特大のクラップが埋め尽くす。『EDEN』のジャケットが沙幕に映し出されると、ケイト・ブッシュの「Rocket's Tail」を背にメンバーがステージに現れた。"これから、あの日が更新される"、その高揚に耐えきられない拳が天井に向けて真っすぐ伸びる。楽園への道は開いた。

RYUICHI

アルバムと同じくオープニングは「JESUS」で封切られた。メロディックでありながらも刺激的なサウンドは、火花が散る映像とリンクして観る者の心をヒリヒリと焦がしていく。四半世紀前にリリースされたとは思えないほど生々しい楽曲は、LUNA SEAというバンドのすごさを初っ端から突きつけてきた。間髪いれずに導かれた「Déjàvu」では、会場全体で"あなたさえ"の大合唱。時を超えても愛され続けるバンドの姿を目の前にし、心酔せずにいられようか。

SUGIZO

SUGIZO(Gt./Violin)のカッティングが響き「ANUBIS」が始まると、狂喜乱舞の声が会場に敷き詰められた。『EDEN』リリース時のツアーより封印されていた名曲の登場なのだから無理もない。ダークヒーロー感あるRYUICHI(Vo.)の低音ヴォイスやSUGIZOの泣き叫ぶギターソロは、空白を埋め尽くしてしまうほどに豊潤だ。まるで、この日のために封印してきたのだといわんばかりに。それに続くは「STEAL」「LAMENTABLE」と、これまたSLAVE(LUNA SEAのファン呼称)待望のナンバー。前半からフルギアのセットリストは、LUNA SEAを更新するのだという強い決意を感じた。

INORAN

RYUICHIが「これも久々かな」と告げ始まったのは、彼の艶っぽい声が引き立つ「RECALL」。INORAN (Gt.)のしっとりしたアコギとSUGIZOの憂いを帯びたエレキが会場を包みこみ、観客も緩やかに揺れる。暗転を挟み青いスポットライトに照らされたSUGIZOがヴァイオリンと共に現れると、ライブ定番曲である「Providence」が奏でられた。哀しくも麗しいワルツのリズムは、1回転するごとに心の手綱をステージへと引き寄せる。その求心力を開放したのは、「BELIEVE」のカップリングである「Claustrophobia」だ。淡々と刻まれた音楽がサビで解き放たれ、榴弾のように飛散する様は最高にエモーショナルである。

真矢

第一幕を観劇し終わったような充足感のまま真矢(Dr.)とJ(Ba.)のソロプレイタイムへ。一音一音を鳴らし響かせ描く彼らの姿は、"バンドを支えるリズム隊がいかにかっこいいか"ということを最大限に誇示する。そのプレイに客席が沸くと、二人は満足そうな表情を浮かべていた。RYUICHIの「行くぞー、アリーナ!」という声を受け、ライブはいよいよ後半戦に突入。「BLUE TRANSPARENCY」によって、会場の熱は一気に上昇させられる。「White Christmas」に続いて披露されたのは、『EDEN』の頃から原曲が存在した「I for You」だ。ドラマの主題歌を飾り、バンドを紅白歌合戦へ送り出した名曲の登場に、オーディエンスの手がこれでもかと前方へ伸ばされる。芯のあるギターサウンドが紡ぐ繊細なメロディーは、色あせない鮮やかさでアリーナを埋め尽くした。

J

『EDEN』のラストソングである「STAY」により一気にラストスパートへ。ステージを縦横無尽に動き回るメンバーの姿は、自分たちが最大限にポップソングを楽しんでいるよう。ダークでもブライトでも魅せられる、多彩な面があるからこそ病みつきになり離れられない。そんな強さを彼らから感じずにはいられなかった。"汚れた天使の羽"と大合唱が起きた「IN MY DREAM」、ロックンロールに身を委ねる「TIME IS DEAD」とバンドの勢いが加速していく。ラストを飾ったのは、1stシングルのリードトラックである「BELIEVE」。メンバー、観客、スタッフと、その場にいる全員の思いが1点に集まり生み出された空間は、これこそが一体感なのだと叩きつけ本編を締めくくった。

メンバーがステージを去ったあとも、その声は止むことなく響き渡り毎年恒例となった「きよしこの夜」の大合唱へ。呼び戻されたメンバーは嬉しそうにアリーナを見渡し、アンコールに転じた。演奏されたのはライブ会場限定曲として発売された「HOLY KNIGHT」。切なくも伸びやかなSUGIZOのギターサウンドが大人な夜を映しだす。空から舞う花吹雪は、本物の雪のようにステージに降り積もっていた。『EDEN』制作時と近い感覚で作られたという「BLACK AND BLUE」、キラーチューンとして名高い「ROSIER」と、本編後でも選曲に抜かりは全くない。ラララの大合唱で満ちる「WISH」で多幸感を生み出し、聖なる夜を締めくくった。

MCでRYUICHIは「新しいLUNA SEAを発見できると思うんだよね」と語っていたが、それはきっとこの日に限ったことではないのだろう。音楽に対してストイックで、ファンや周りの人を思う熱い心があるという一本筋の部分はズレずに、絶えず変わり続けてきた。留まるということは悪くもならないが、良くもならない。常により上を目指し己を更新し変化していく彼らだからこそ、こんなにも長い間愛されカリスマとして君臨しているのではないだろうか。この日の模様は2019年2月9日(土)にBSスカパー!にて放送される。常に新しい魅力に出会える彼らの片鱗に触れていただきたい。

文=坂井彩花  

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放送情報

LUNA SEA「LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary- SEARCH FOR MY EDEN」
放送日時:2019年2月9日(土)20:00~
「INORAN SOLO 20TH ANNIVERSARY TOUR 2017 - INTENSE / MELLOW」
放送日時:2019年1月26日(土)1:00~
「IMAGE or REAL」
放送日時:2019年2月2日(土)17:00~
チャンネル:BSスカパー!
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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