現在、全国20ヵ所24公演をまわるツアー「SAKANAQUARIUM2018-2019 "魚図鑑ゼミナール」を開催中のサカナクション。
1月13日からスタートしたNHKスペシャル番組「東京ミラクル」のテーマ曲として、2016年にリリースしたシングル「多分、風。」のカップリング曲「moon」のリアレンジバージョンが使用されているほか、Hondaの新型ハイブリッド車「INSIGHT」CMソングとして、「years」(2011年リリースのシングル「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」カップリング曲)がオンエアされるなど、彼らの曲をお茶の間でも耳にする機会が増えている。
実験的なサウンドと文学的歌詞が融合したサカナクションの音楽
ロックをベースにエレクトロやニューウェーブなど様々なジャンルを融合させた実験的なサウンドと文学的な歌詞の世界観によって、ロックシーンのみならず、日本の音楽シーンのなかで唯一無二の存在感を放つサカナクションは、常に貪欲な探求心で新たなチャレンジを続けてきた。
ときに「総合芸術」と称されるライブは、照明、音響、映像の細部にまで徹底的にこだわり、最先端のテクノロジーと斬新なアイディアがクロスオーバーするスリリングな表現の場所になっている。2013年にアルバム『sakanaction』のリリースツアーとして開催されたアリーナ公演では世界初の試みとして「6.1chサラウンドシステム」を導入。会場全体を大量のスピーカーが取り囲む立体的な視聴体験がファンを驚かせた。
初の「紅白」ではMacBook Airで演奏
音楽をひとつのカテゴリーに留めることなく、あらゆる表現分野とシンクロさせることでリスナーに新鮮な発見をもたらしてくれることが、サカナクションの大きな魅力だ。
その一端は、彼らの名前を一躍広めることになった初期作「アルクアラウンド」の画期的なミュージックビデオが第14回文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門で優秀賞を獲得しているところからも十分に感じられる。2015年には、音楽、ファッション、アートといったカルチャー全般を融合した新しい音楽表現のあり方を追求する発信地を作りたいという思いから自主レーベル「NF Records」を発足。初めて映画音楽を担当した「バクマン。」では、第39回日本アカデミー賞で優秀賞を獲得している。
また、2013年に初めて紅白歌合戦に出場した際には、ロックバンドでありながら、楽器を持たずに全員が一列に並んでMacBook Airで演奏をするビジュアルが大きな話題になった。高いクリエイティビティと芸術性を持ちながら、決して玄人向けではなく、誰もが楽しむことのできるポップミュージックとしてアウトプットする。芸術家としての野心と大衆的な訴求力。その両方を併せ持つ稀有な存在だからこそ、いまやサカナクションは音楽の奥深さや本当の楽しみ方をリスナーに啓蒙するような存在にもなっている。
EX THEATER ROPPONGI 5周年を記念したライブ
2月24日(日)のテレ朝チャンネル1では、そんなサカナクションが2018年3月にリリースしたベストアルバム『魚図鑑』を携えて全国5都市10公演で開催したホールツアー「SAKANAQUARIUM2018 "魚図鑑ゼミナール"」のなかから、EX THEATER ROPPONGIのオープン5周年を記念して開催したライブの模様が放送される。
この公演では、サカナクションの楽曲を「浅瀬」「中層」「深海」に分類したベストアルバム『魚図鑑』のコンセプトを踏襲して、本編を3つのパートにわけて構成するという新たな試みで行われた。大きくわけると、「浅瀬」はシングルを中心にした入門編的な楽曲、「中層」はバンド初期~中期に顕著だった実験的なミディアムナンバー、「深海」は文字通りバンドのディープな部分にあたる。本公演では、それぞれ「深海」を山田智和、「中層」を田中裕介、「浅瀬」を山口保幸という3名の映像クリエイターが総合演出を手がけている。
さらにサウンド面ではドイツのスピーカー・システム・ブランドである「d&b audiotechnik社・Soundscape System」を日本で初導入するために、その第一人者であり、サカナクションのライブには欠かせない佐々木幸生が音響を担当。放送ではライブに加えて、貴重なオリジナルインタビューや舞台裏映像も放送され、メジャーデビュー12年目に突入するサカナクションがクリエイティブにかける妥協のない姿勢が伝わる内容になりそうだ。
文=秦 理絵
放送情報
サカナクション LIVE & DOCUMENTALY 2018 VISUAL LIVE SESSION
放送日時:2019年2月24日(日) 21:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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