今年8月に開催した日本武道館単独公演をソールドアウト、9月20日公開の松本穂香と板尾創路が主演を務める映画『おいしい家族』の主題歌「みたいなこと」を書き下ろすなど、精力的に活動中のyonige。AC/DCの初代ベーシストであるラリー・ヴァン・クリートをおじに持つギターボーカル・牛丸ありさと、ベーシストのごっきんによる2人組バンドで、ライブではサポートドラムとサポートギターを加えた4人編成で活動中だ。
■生々しい毒気とインパクト、華のある佇まい。大阪府寝屋川出身の牛丸ありさとごっきん
2013年、ライブハウスの演者同士で顔見知りだった牛丸、ごっきん、当時のドラマーの3人で大阪府寝屋川市にて結成。インディーズレーベル・THE NINTH APOLLOのスタッフに自作デモを手渡したことがきっかけで、スタッフたちがyonigeをデビューさせるためにTHE NINTH APOLLO傘下にレーベル「small indies table」を設立。ふたりは同レーベルから2015年8月にミニアルバム『Coming Spring』で全国デビューを果たした。
当時はMy Hair is Badがブレイクしたことを受けて、THE NINTH APOLLOに大きな注目が集まっていた。そんなレーベルがわざわざ新しいレーベルを設立してまでリリースするバンドとは? という期待度の高さも然ることながら、収録曲「アボカド」の《君に投げつけたアボカド》に代表される歌詞の生々しい毒気とインパクト、華のある佇まい、というふたりの持ち味が若い男女の心を打った。
■au三太郎CMシリーズのテーマソングを書き下ろし
ポップセンスを持ちつつシンプルで硬派なサウンドスケープ、男性ロックバンド的なおもねらない姿勢や空気感を貫きながらも、女性ならではとも言える感情的で赤裸々な歌詞を書き、女性としてパフォーマンスする。けっして男性勝りなことをせず、だからといって過度に愛嬌をふりまいたりもしない。そんな彼女たちの姿は同性リスナーからも「かっこいい女子」として映り、活動を重ねるごとに多くの支持を獲得していった。
2017年9月には初のフルアルバム『girls like girls』でメジャーデビュー。Hondaのレンタカーサービス「EveryGo」や2018年au三太郎CMシリーズのテーマソングの書き下ろしなどのタイアップも影響して知名度を上げ、多数のフェスに出演。2018年にリリースした『HOUSE』は上京という環境の変化や経験の増加も影響してか、深みを増したサウンドと歌詞、メロディを堪能できるものになった。
前述のとおり2019年夏には日本武道館公演もソールドアウトさせ、バンドの成長を見守ってきた山田孝之も「yonige武道館おめでとう」とSNSでバンドの活躍をお祝いするほど大成功を収めた。一気にオーバーグラウンドへ活動拠点を移してもおかしくないところではあるが、10月は4人組バンドtricotとの東名阪ツーマンツアーを開催し、レーベルメイトであるKOTORIのツアーにもゲストとして参加予定。ライブハウスでのライブも精力的に続けるところに、ロックバンドとして存在したいという意地にも近いポリシーが見える。彼女たちは今後そのスピリットでどんな音楽を作り、どんな活動をしていくのだろうか。今後も目が離せないバンドだ。
文=沖さやこ
放送情報
yonige 日本武道館「一本」ライブ&ドキュメント
放送日時:2019年10月27日(日)21:00~
チャンネル:スペースシャワーTV
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
詳しくはこちら