森昌子桜田淳子山口百恵、「花の中三トリオ」が集結した貴重なコンサート

『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式 出発』より
『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式 出発』より

1970年代の歌謡界で郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎が"新御三家"として絶大な人気を誇ったが、同時期に幅広い層から支持された人気女性アイドル3人がいた。それが森昌子、桜田淳子、山口百恵だ。

森昌子&桜田淳子&山口百恵

3人の共通点は伝説のオーディション番組「スター誕生!」だった。森昌子は1971年に放送が始まった「スター誕生!」に13歳で出場し、初代グランドチャンピオンに。翌1972年7月にシングル「せんせい」で歌手デビューするといきなり大ヒットを記録。昭和の歌謡界ではデビュー時にキャッチフレーズが付けられることが多かったが、森昌子は「あなたのクラスメート」。そのキャッチにふさわしい親しみのあるキャラクターが支持される理由にもなっていた。

桜田淳子は持ち前の明るさと才能で「スター誕生!」の1972年9月の決勝大会で第4代グランドチャンピオンに輝き、番組史上最高の25社から獲得の意向を示すプラカードが上がった。そして、73年2月に「天使も夢みる」でデビュー。

山口百恵は1972年12月に「スター誕生!」に出場し、準優勝で20社のプラカードが上がった。1973年5月に「としごろ」で歌手デビューし、続いて発売した2枚目のシングル「青い果実」が最高位9位を記録して、注目度も一気に高まった。大人びた内容の歌詞は、翌年に発売された5枚目の「ひと夏の経験」にも引き継がれ、中学生のあどけなさとのギャップもあって独特な雰囲気をまとっていた。

デビュー時期は少しずつ違うが、同じ学年ということで、"花の中三トリオ"と呼ばれるようになり、実際にユニットを組んでいたわけではないが、進学するごとに"花の高一トリオ""花の高二トリオ""花の高三トリオ"として、歌番組などで共演する機会も多く、歌謡界を盛り上げていった。

そんな3人が、1977年3月27日に日本武道館でコンサートを行なった。森昌子が「せんせい」「おかあさん」、桜田淳子が「わたしの青い鳥」「夏にご用心」、山口百恵が「ひと夏の経験」「横須賀ストーリー」といったそれぞれの代表曲を歌ったほか、エルヴィス・プレスリーやジョン・レノンなどのカバーなども歌い、高校を卒業するにあたり"解散式"とも言える集大成・総決算のコンサートとなった。

このコンサートの模様に、記者発表や稽古風景などを収めたドキュメント映画『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式 出発』は7月に歌謡ポップスチャンネルで放送される。仲良しであり、お互いを高めるライバルでもあった3人のいろいろな表情が見られる貴重な映像になっている。

森昌子はその後、本格的な演歌歌手となり、「哀しみ本線日本海」「越冬つばめ」などのヒット曲を生み、桜田淳子は「しあわせ芝居」「サンタモニカの風」など表現の幅を広げていった。そして山口百恵は「プレイバックPart2」「いい日旅立ち」「さよならの向う側」など、多くのヒット曲を残し、1980年10月に日本武道館でファイナルコンサートを開いて、その後、いくつかのテレビ番組に出演したのちに引退。

昭和歌謡が再評価され、若い世代にも聴かれるようになった今、『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式 出発』で3人の魅力を改めて感じたい。

文=田中隆信

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放送情報

昌子・淳子・百恵 涙の卒業式 出発
放送日時:2021年7月23日(金)19:30~
チャンネル:歌謡ポップスチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がありま

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