台湾の伝統や文化を背景に紡がれる「人面魚 THE DEVIL FISH」のストーリーは、台中市で悪霊が取り憑いた父親によって家族が惨殺されるという事件から幕を開ける。
全編を通して薄暗く陰湿な雰囲気漂う中で、登場する主なキャラクターは、警察の依頼を受けて悪霊を退治する霊媒師・ジーチェン(チェン・レンシュオ)と、精神を病んだ母親・ヤーフェイ(ビビアン・スー)、そしてその息子であるジャハオ。ジーチェンが父親に取り憑いた悪霊を1匹の魚に閉じ込めるのだが、ジャハオが悪霊を閉じ込めた魚の口から出てきた稚魚を持ち帰ったことで、家に悪霊を招き入れてしまう。
ビビアンが演じるヤーフェイは、ジャハオと母ひとり子ひとりの生活を送っており、別居中の夫とはどちらがジャハオを引き取るかで揉めている。「あの子がいないと私は生きていけない」と言い募るヤーフェイは、病んだ雰囲気ながらも美しく、序盤から不思議な色気を放っている。
ジャハオが持ち帰った稚魚のせいで、次第にヤーフェイは悪霊に心身を乗っ取られていく。捨てたはずの家族写真が部屋に並べられていたり、ビデオカメラに写っているはずのない光景を見たり...。愛しい息子さえも信じられなくなり、徐々に心が壊れる様には息を吞む。浴槽の中で生きたままの魚を喰らうヤーフェイの鬼気迫る表情は、円熟期を迎えた女優としての凄みをそのまま表しているかのようだ。
精神を病んだ母親像という、アイドル時代とはまったく異なるイメージを体現するビビアンの衝撃的な演技に目を奪われること必至。台湾でも絶賛されたという狂気すら漂わせるその佇まいをぜひ目撃してほしい。
文=酒寄美智子
放送情報
人面魚 THE DEVIL FISH
放送日時:2023年8月12日(土)18:45~、8月31日(木)20:45~
紅い服の少女 第一章 神隠し
放送日時:2023年8月12日(土)15:00~
紅い服の少女 第二章 真実
放送日時:2023年8月12日(土)16:45~
チャンネル:スターチャンネル1
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