イ・ビョンホン、ソン・ジュンギからNiziUの生みの親・J.Y. Parkまで!2023年の韓国の「顔」がわかる「第44回 青龍映画賞」
- 韓流・海外スター
- 2024.02.01
韓国映画の振興と大衆文化の発展を願って1963年に創設された「青龍映画賞」。韓国で最も権威のある映画賞で、毎年、豪華スターが顔をそろえることでも高い注目を集める。昨年11月24日に開催された第44回の授賞式の模様が、2月18日にKBS Worldにて日本初放送。見どころを韓国エンタメに詳しいライターの西森路代さんに聞いた。
■映画を通して韓国の「今」が分かる
ノミネート作品のテーマ性を通して「韓国の時勢が見て取れる」と話す西森さん。年末恒例の歌謡祭とは異なり、映画だからこそ、そこに韓国のリアルが透けて見えるそう。
「例年、今年の韓国はこんな年だったんだというのが作品から伝わるのが面白いところです。今回で言うと、イ・ビョンホンが主演男優賞、オム・テファ監督が監督賞を受賞した『コンクリート・ユートピア』は、マンションを巡る人々の戦いを描いたパニックスリラー。韓国は近年、不動産問題が社会に大きな影響を与えるなど国民の住宅に対する関心が高く、不動産に焦点を当てた作品が増えているんです。注目を集める作品は、その時々の社会的状況と結び付いていることが珍しくありません」
日本でも1月5日に封切られた「コンクリート・ユートピア」。西森さんはそのキャスティングの豪華さをこう語る。
「日本も同様だと思いますが、俳優はキャリアを積めば積むほどたくさんの良い企画が集まってくる。そこから本人が吟味して出演を決めているわけなので、『コンクリート・ユートピア』はイ・ビョンホン主演というだけでまず面白いはずだと信頼が置けます。しかも、これまで、いろんな役を演じてきたイ・ビョンホンが、本作では『こんなイ・ビョンホンも見られるのか!』という新鮮な驚きのある役を演じていました。災害の中、一棟だけ倒壊を免れたマンションという設定から始まる人間ドラマ、サスペンスで、脇を固めるパク・ソジュンやパク・ボヨンのキャラクターからも目が離せませんでした」
■日本公開前の話題作を一挙にチェックできる
前述の「コンクリート・ユートピア」をはじめ、「青龍映画賞」で選出された作品が日本で見られるのは韓国での公開から約半年~1年後ということが多い。本国・韓国での盛り上がりをチェックし、公開を心待ちにするのもお薦めだ。
「授賞式を通して、日本の公開待機作を予習するという視点もアリかもしれません。主演俳優はもちろん、脇役にはこんな人がいて、監督、脚本家にはこういう才能が結集したんだと。鑑賞前のワクワクを高めてくれると思います」
具体的に今後の注目作品はどれだろうか。
「新人監督賞、撮影照明賞、編集賞の3冠を達成した『梟 -フクロウ-』が2月9日より全国ロードショーです。名バイプレーヤーの印象が強いユ・ヘジンがメインキャストで、経験に裏打ちされたお芝居に期待が高まります。最優秀作品賞を受賞した『密輸』は、日本でも『ベテラン』や『モガディシュ』などが人気のリュ・スンワン監督作品。今年で青龍映画賞の司会を勇退するキム・ヘスとヨム・ジョンアが主演で、海女をしていた女性たちを中心に描かれるアクション映画。日本公開の情報はまだ入っていませんが個人的には最も楽しみな作品です。ソン・ガンホ主演、キム・ジウン監督という安定のタッグの作品『クモの巣』は、音楽をチャン・ギハが担当していて、音楽賞を受賞しました。今回の授賞式でのライブステージも圧巻です。キム・ソヒョン主演で、1994年生まれの女性監督が新人監督賞にノミネートされた『ビニールハウス』(3月15日公開)は2023年の韓国映画界を席巻した作品。こちらも公開が待ち遠しいです」
■人気アーティストの特別なステージが見られる
授賞式の合間に挟まれる、その年の話題を集めたアーティストやアイドルの祝賀公演も見もの。祭典を盛り上げる楽しく華やかな時間は、それを見守る俳優たちのリアクションも必見だという。
「今回はNewJeans、J.Y. Parkらが登場。NewJeansはメッセージアプリの画面を使ったオープニング演出がユニークで、それをほほ笑ましく見つめたり、一緒にノリノリで踊ったりする俳優たちの表情も見逃し厳禁です。J.Y. Parkは、日本でも大人気のTWICE、NiziUらを生み出していますが、今回はプロデューサーとしてではなく現役のアーティストとして登場。グラムロックなどを取り入れた異彩を放つパフォーマンスで圧倒するだけでなく、30年務めたMCを今回で卒業する女優キム・ヘスをエスコートし、キム・ヘスもノリノリで踊りだすという名シーンも生まれました」
そんなしゃれた空気感も韓国の映画賞ならではだとか。
「日本の映画賞ではなかなか見られない光景です。総合的な『エンターテイメント・ショー』といった作りが日本の視聴者には新鮮に映るかもしれません。例年しっかりと『今年の顔』と言えるような人がステージに出てきて、格式ある授賞式にふさわしい趣向を凝らしたステージを作り上げる。他では見られないライブパフォーマンスにぜひ酔いしれてほしいです」
取材・文=川倉由起子
放送情報【スカパー!】
第44回 青龍映画賞
放送日時: 2月18日(日)11:50~
放送チャンネル:KBS World
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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