「バツイチライフ」が話題のイ・ドンゴン、元妻チョ・ユニと出会った「月桂樹洋服店の紳士たち」が再注目されるワケ

対するヨンシルは、"韓国最高峰の裁断師になる"という夢を持って月桂樹洋服店で働く技術者。マンスル夫妻を実の両親のように慕い、店の人々を家族のように愛し愛される存在だ。元気いっぱいでいつも前向きなヨンシルを、ユニが活き活きと演じている。

月桂樹洋服店を煙たがるドンジンと、月桂樹洋服店が大好きで仕方がないヨンシル。そんな2人だから、互いの相性は最悪。初対面でドンジンがヨンシルのドレスの裾を踏んづけて転ばせたのを皮切りに、葡萄畑でヨンシルがドンジンのスーツを葡萄汁まみれにしてしまったり、店に来ていたドンジンをヨンシルが泥棒扱いしたりと、顔を合わせればトラブル続き。だが、廃業の危機に直面した月桂樹洋服店のため力を合わせるうちにスーツに対する互いの情熱を知り、少しずつ距離が縮まっていく。

頭脳明晰で、冷酷な雰囲気すら漂わせるドンジンだが、出世争いしか頭にないビジネスマンではないあたりが彼の魅力。実は誰よりもスーツを愛し、テーラーとしての腕も確か。そして、100年の歴史を持つスーツの老舗・月桂樹洋服店とその腕利き職人である父親を内心では誇りに思っているのだ。

そんなドンジンの優しい人間性が垣間見えるのが、店の最後のお客に仕立てたスーツを配達にいくシーン。父親の作ったスーツに込められた依頼人の思いを聞いたドンジンは、一着のスーツが誰かの人生にこんなにも彩りを与えていることを知り、それまでの仏頂面からふと柔らかな表情に。父親が大切にしてきたスーツづくりに一瞬、思いを馳せる。心の奥底に優しさと素直さを持ったドンジンを、ドンゴンが丁寧かつ繊細に演じている。

ドンシンとヨンシルが冬の夜に同じ鍋のインスタントラーメンをつつき合うシーンや、1枚のひざ掛けにくるまって肩を寄せ合いキスするシーンなど、恋をゆっくり育んでいく姿もほっこりと心温まる秀逸なシーンの連続。演じたイ・ドンゴン＆チョ・ユニのその後のゴシップとは関係なく、ドラマの中では永遠に色褪せることのない"大人可愛い"恋模様にじんわりと浸りたくなる...そんな作品だ。

文＝酒寄美智子

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