<宇垣美里のときめくシネマ>「RRR」「チャトラパティ」「あなたがいてこそ」 次々繰り出されるハイカロリーな映像に心がたぎる
- 韓流・海外スター
- 2024.06.06
劇中最も印象的なセリフといえば「『ナートゥ』はご存じか?」だろう。このセリフをきっかけに始まるインド式ダンス「ナートゥ」でのダンスバトルシーンは何度見ても思わず一緒に踊りだしたくなるほどパワフルで、何かに気持ちで負けてしまいそうな時だって、見たら「よし、ダンスバトルでぼっこぼこにしてやるか!」と立ち上がる勇気をもらえる。このシーンの劇中歌である「ナートゥ・ナートゥ」は、第95回アカデミー賞でインド映画初の歌曲賞にも選ばれた。
エンディングには、歴代のインド独立への道のりに実在した活動家たちと共にS・S・ラージャマウリ監督ご本人も登場。映画の圧倒的なクオリティと力強いメッセージを受け取った後だから、「この世界を作り上げた......創造神!」というような気持ちで思わず拝みそうになった。
■明日への希望が持てること間違いなし
ラージャマウリ監督の出世作は「バーフバリ」(2017年)だけれど、その主演であるプラバースとは、実はその初期に違う作品でタッグを組んでいる。その名も「チャトラパティ」(2005年)。
スリランカ沿岸部にあるテルグ人漁民の村で、母から平等に愛されて育つ兄弟。しかし異母兄弟のため、弟のアショク(シャフィー)は自分だけの母親であると兄のシヴァージ(プラバース)への憎しみを募らせていた。そんななか、彼らの住まう村は敵対勢力により襲撃を受け、シヴァージは母と弟と生き別れてしまう。やがてたどり着いたインドの港町で他の難民たちと共に強制労働を強いられながらたくましい青年へと育ったシヴァージは、搾取から人々を救うため、町を牛耳る悪党を倒し、民の王を意味する「チャトラパティ」と呼ばれるようになる。そこへ生き別れたはずのアショクが訪れ、消えぬ憎しみをもとにシヴァージを追い詰めていく。
運命に選ばれたヒーローの神話のような誕生譚はラージャマウリ監督の真骨頂。冒頭からサメと戦うシヴァージに目を奪われること間違いなし。サメ...?シヴァージの二の腕はほぼ顔と同じサイズで、あまりの強さに思わず笑ってしまうほど。シヴァージが多くを語らない寡黙な男である一方、気のいい周りの友人たちやなんとなく間抜けでおとぼけなヒロイン、さらには物語に脈絡なく登場する勘違い男のコメディトラックなどで存外笑える味付けとなっている。家族愛に、長い手足から繰り出されるド派手なアクション、セクシーな魅力にあふれるダンスシーンと見どころ満載で味わい深い一作だ。粗削りながらその壮大さに、鑑賞後は自分の悩みがなんだかちっぽけなものに見えて元気が湧いてくるはず。う~ん、まあ上司はアショクほど陰険じゃないし、お母さんも家におるしちゃんと話聞いてくれるしええか!みたいな。
放送情報【スカパー!】
あなたがいてこそ
放送日時:2024年6月8日(土)13:15~、27日(木)10:40~
RRR
放送日時:2024年6月8日(土)21:00~、24日(月)9:40~
チャトラパティ
放送日時:2024年6月9日(日)0:15~、21日(金)0:00~
(吹)RRR
放送日時:2024年6月14日(金)21:00~
チャンネル:スターチャンネル
詳しくはこちら