イ・ジョンジェがチョン・ウソンらと繰り広げる演技合戦！「イカゲーム」以降も躍進を続ける実力派の骨太な初監督作品

今年下半期にはシーズン2の配信も決定し、これからも勢いを強めていきそうな「イカゲーム」(2021年)。同シリーズで主人公を演じたイ・ジョンジェは、アジア作品で初となるエミー賞主演男優賞受賞。さらに「スター・ウォーズ：アコライト」(2024年)でジェダイ・マスター役に抜擢されるなど、世界を舞台にますます強烈な存在感を発揮している。

そんなジョンジェが初監督・脚本に加えて主演も兼任したのが、スパイアクション映画「ハント」(2022年)だ。ダブル主演を務めたチョン・ウソンをはじめ、ホ・ソンテ、チョン・ヘジンら豪華な面々と激しい演技合戦を繰り広げて俳優としてのすごみを見せつけるだけでなく、本作が初監督とは思えない演出が光り、一瞬たりとも目が離せない骨太な1作を完成させている。

頭脳戦、銃撃戦、諜報戦、心理戦...など、スリリングな場面の連続で、韓国での公開時には初登場1位を獲得し、第75回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門で上映されると、約7分間のスタンディングオベーションを受けた本作。

舞台となるのは1980年代の韓国。韓国安全企画部(かつてのKCIA)で海外チームを率いる海外次長パク・ビョンホ(ジョンジェ)と国内チームを率いる国内次長キム・ジョンド(ウソン)は、組織内に入り込んだ"ドンニム"と呼ばれる北朝鮮のスパイを見つけるよう命じられ、それぞれが捜査を始める。二重スパイを見つけなければ自分たちが疑われるかもしれない緊張した状況で大統領暗殺計画があると分かり、彼らは巨大な陰謀に巻き込まれていく...。

冒頭から激しい撃ち合いが始まり、ハンパない緊迫感と共にグイグイと引き込まれていくような映画だ。パク次長とキム次長はことあるごとにぶつかり合うなどバチバチのライバル関係にあるが、そんな中で組織内にスパイがいることが分かり、お互いに疑心暗鬼にかられていく。

さらにパク次長の部下である海外チームのエース、パン・ジュギョン(ヘジン)、キム次長の部下で、命令に忠実に従うチョルソン(ソンテ)をはじめ、周囲の人物の誰もが怪しく見えてくることも相まって、二転三転ストーリー展開に観ているこちらも目が釘付けになりっぱなし！

ジュギョンは頭が切れるエネルギッシュな女性で、食べ物をかじりながら仕事に励むなど、ヘジンがあらゆる場面に人間らしさをにじませる演技で魅力的に演じている。一方、チョルソンを演じた「イカゲーム」の悪役で世界的に認知度を高めたソンテ。「イカゲーム」でもインパクトを残したソンテが、本作でもコワモテをたっぷりと披露し、大いにゾクゾクとさせてくれる。

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