宇垣美里のときめくシネマ>ああ、友達に会いたい! 最高の友情を見せてくれる旅立ちムービー

HIV感染者の少年とその友達が、治療法を探し求めて旅に出る「マイ・フレンド・フォーエバー」
HIV感染者の少年とその友達が、治療法を探し求めて旅に出る「マイ・フレンド・フォーエバー」

■あの旅の記憶はきっと永遠に心の支えになるのだろう

3月は別れと旅立ちの季節。進学や就職でそれまでの世界を離れ、新しい場所へと向かう中で疎遠になる友もいるだろう。クラスで会わない人や違う地域で暮らす人と関係を続けるには、それなりのパワーが必要だ。半身のように思っていた相手でさえ、人生のタイミングによっては遠い存在になってしまうことがある。でも毎日一緒にいる人が友達になるわけじゃない。その日の出来事すべてを共有することばかりが、友情の形じゃない。たとえ遠く離れていても、どうか幸せでいてくれますようにと祈る存在が、ずっと味方だと信じられる存在こそが、友。距離なんて、何でもない。そう、たとえ二度と会うことがなくたって。

「マイ・フレンド・フォーエバー」(1995年)は邦題の通り、そんな永遠に続くであろう友情を描いている。孤独な少年エリック(ブラッド・レンフロ)の隣家に、幼い頃の輸血が原因でHIVに感染した少年デクスター(ジョセフ・マッゼロ)が引っ越してきた。当初は彼を警戒していたエリックだったが、次第に打ち解け、まるで兄弟のように毎日一緒に遊ぶようになる。

デクスターの病気を治そうとお菓子を大量に食べたり、野草を煎じて飲んでみたりと、2人の少年の暴力的なまでの無邪気さにハラハラしっぱなし。けれどその日々のなんと楽しそうなことか。愚かしい社会の偏見の中で、互いを信じ支え合う2人の友情だけが美しく輝いている。ずっと友達のいなかったデクスターはエリックに出会って、不憫な病気の少年ではなく、ただのいたずらばかりする悪ガキになることができた。

やがてニューオリンズでHIVの特効薬が発見されたとの新聞記事を目にした2人は、手作りのボートに乗って川を下り、治療法を探す旅に出る。無謀なほどの行動力は子どもならでは。少年たちのひと夏の冒険・青春映画の金字塔である『スタンド・バイ・ミー』(1986年)が好きな人なら、きっと刺さるはず。

複雑な家庭環境の中で暮らす少年たちが、ある噂を聞き冒険へと繰り出す「スタンド・バイ・ミー」
複雑な家庭環境の中で暮らす少年たちが、ある噂を聞き冒険へと繰り出す「スタンド・バイ・ミー」

(C) 1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

旅の途中、死の恐怖に怯えるデクスターにエリックのかけたセリフが温かくて、優しくて。彼もまたエリックとの出会いの中で成長したことがわかる。2人はきっとこれからどこへ行く時もそばにいる。どこにだって、エリックが連れて行ってくれる。エリックの心の支えはきっと、デクスターとのあの旅の記憶。だから彼らの友情は、永遠。大人になって観ると、対照的な2人の母親の様子にも胸打たれた。鑑賞後、コンバースのスニーカーを目にするたびに涙腺がゆるむ呪いにかかってしまうので要注意。

■新しい一歩の背中を押してくれる友達という存在

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放送情報【スカパー!】

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
放送日時:2023年3月4日(土)16:30~、8日(水)18:30~

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー [PG12]
放送日時:2023年3月14日(火)16:45~

マイ・フレンド・フォーエバー [PG12相当]
放送日時:2023年3月15日(水)17:00~、27日(月)8:00~

スタンド・バイ・ミー [PG12]
放送日時:2023年3月17日(金)19:15~

(吹)スタンド・バイ・ミー [PG12]
放送日時:2023年3月10日(金)12:30~
チャンネル:ザ・シネマ

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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