映画「サッド・ムービー」(2005年)にて8歳でデビューを飾り、27歳にしてキャリアはすでに20年を誇る実力派、ヨ・ジング。主人公の少年役に抜擢された「ファイ 悪魔に育てられた少年」(2013年)では第34回青龍映画賞の新人男優賞ほか数々の賞に輝き、一人二役を務めた主演ドラマ「王になった男」(2019年)やサスペンスドラマ「怪物」(2021年)など出演作は多岐に渡る。

天才子役から進化を遂げた"若きベテラン"と称されるほどの演技力が高く評価されているジングの多彩なキャリアを紐解く上で見逃せないのが、「同感～時が交差する初恋～」(2022年)だ。6月3日(火)にＷＯＷＯＷシネマで放送される本作は、1台の無線機が過去と未来をつなぐピュアなラブストーリー。ユ・ジテとキム・ハヌルのダブル主演でヒットを記録した2000年の青春映画「リメンバー・ミー」を原作に、時代設定を2020年代に合わせてリメイクされた。

1999年の皆既月食の夜、韓国大学に通うヨンは無線機を通して、ムニという女性と交信を始める。彼女も同じ大学に通う学生と分かり、大学構内で会う約束をする。しかし、約束の時間を過ぎてもムニは来なかった。一方、雨の中で待ち続けるムニの前にもヨンは現れない。その夜、互いに相手が約束を破ったことを責めるが、どうも話が噛み合わない。何度か交信するうちに、2人は自分たちが違う時代を生きていると気づく...。

5年ぶりの主演映画となった本作で、ジングは1999年を生きるヨンを演じた。韓国大学機械工学科に通う男子大学生のヨンは、兵役を終えて復学した3年生。同じ学科に首席入学した新入生ハンソルと知り合い、心惹かれていく。親友から無線機を借りて交信を試みたところ、見知らぬ女子学生ムニからの着信で交流を始めることになる。

心優しくピュアな好青年をジングが自然体で好演。ムニとの会話で生まれるズレや違和感への反応もリアルで、時代を超えて無線機でつながるというファンタジーな設定も自然に受け入れられる。ペットの亀モンマンに語りかけたり、月を見てロマンチックなことを言って照れてみたり。恋に悩む可愛い一面も見せながら、ムニからの恋愛アドバイスも素直に聞き入れ、真心を持って恋に向き合う。

青く瑞々しい青春を体現するジング。苦悩する表情からは、切ない思いが痛いほど伝わってくる。ヨンとムニの奇跡のような友情、過去と現在が交錯するシーンは美しく、涙を誘う。