昨年公開され、日本および世界で大ヒットを記録したシリーズ完結編「ヴェノム：ザ・ラストダンス」。この"ヴェノム"を主人公にした一連の3部作は、アンチヒーロー映画として数あるアメコミ原作の映画の中でも異彩を放っている。

6月14日(土)にＷＯＷＯＷシネマにて一挙放送される「ヴェノム」(2018年)、「ヴェノム：レット・ゼア・ビー・カーネイジ」(2021年)、「ヴェノム：ザ・ラストダンス」(2024年)の主人公となるヴェノムは、「スパイダーマン3」(2007年)にも登場するなど、スパイダーマンの宿敵として知られるマーベルの人気ヴィラン。

宇宙から飛来した黒いネバネバの共生生物"シンビオート"がジャーナリストのエディ・ブロックに寄生したことで誕生した、人間とシンビオートが融合した存在で、餌として人間を食べるような容赦ない一面など、あくまで善悪が同居したキャラクター像がユニークだ。

人体実験の被験者と接触によりシンビオートに寄生されたエディが、ヴェノムとして巻き起こす騒動をスリリングかつユーモラスに活写した「ヴェノム」。凶悪な殺人鬼にシンビオートが寄生した"極悪版ヴェノム"ことカーネイジとの死闘が繰り広げられた「ヴェノム：レット・ゼア・ビー・カーネイジ」。そしてシンビオートの生みの親である邪神ヌルに加え、人間からも狙われることになったヴェノムの最後の戦いとなった「ヴェノム：ザ・ラストダンス」と、これまで3部作が積み上げられてきた。

本シリーズの魅力を語る上で外せないのが、主人公のエディとヴェノムを演じ、キャラクターに命を吹き込んできたトム・ハーディの存在だ。人間と地球外生命体の一人二役とも言える役柄を見事に表現しており、ヴェノムの出現に戸惑うコミカルな一面や、悪に飲み込まれそうになるダークな表情など変幻自在。善悪の価値観が相容れないエディとヴェノムのユーモラスな掛け合いも一人で声色を操りながら演じており、芸達者ぶりが光る。