そんな卓不凡の前に立ちはだかるのが、惨殺事件を融天剣派の仕業と見て、ガムシャラに追いかける正義感に溢れた捕吏の王家洛。演じるパン・ハンチェンといえば、ドラマ「光・淵(こうえん)」(2023年)での冷酷非道な犯罪組織のボス役で存在感を放ったが、今作では真逆といえるキャラクターで演技の幅を見せている。

そこに絡んでくるのが、チャン・イーモウ監督の映画「王妃の紋章」(2006年)で、15歳の若さでデビューを果たしたチン・ジュンジエ演じる名門貴族の青年・穆青。穆青は変法の失敗により12年間投獄生活を経て、再び朝廷のため浄壇密蔵の行方を追う。時代の荒波に翻弄される役どころを、ジュンジエがどこか影を落とした表情で重厚に演じている。

立場もバラバラな男たちによる宝の在処をめぐる三つ巴の戦い...そんな刺激的なトレジャーハンティング要素と時代劇の魅力がマッチした面白さで、中国で人気を集めた「天行健～革命前夜、風立ちぬ～」。物語に真実味をもたらす実力派たちの熱演を堪能したい。

文＝HOMINIS編集部