昨年から日本映画界に進出すると、『新聞記者』(2019年)で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞し、急激に知名度を上げている韓国人女優シム・ウンギョン。今年は写真界の巨匠・上田義彦が監督を務める『椿の庭』が公開を控えるなど、その勢いはとどまることを知らない。
ウンギョンといえば、日本リメイクもされた2011年の『サニー 永遠の仲間たち』で、田舎者の女子高生が成長していく様子を瑞々しく体現し一躍ブレイク。これまた日本でリメイクされた2014年の『怪しい彼女』では、中身は70歳だが見た目は20歳に若返るという特殊な設定の主人公に挑むと、老人らしい仕草や口調など笑いを誘う演技を見せた。
これまではどちらかというとコミカルな印象が強かった彼女だが、近年はシリアスな役どころにも挑んで作品の幅も広げている。6月7日(日)にMnetで第1話が先行放送される6年ぶりのドラマ復帰作「マネーゲーム(原題)」でも、そんな成長を感じさせる姿を見せつけている。
■シム・ウンギョンが社会派ドラマで見せる新たな一面
コ・ス、イ・ソンミンという実力派と共に名を連ねているこの作品は、国家を揺るがす経済危機に陥った韓国を舞台にした社会派ドラマだ。巨大な陰謀に立ち向かい、正義と信念で世界を変えようとする人々の葛藤、権力や金で国家を牛耳ろうとする者たちとの熾烈な対立を描いていく。
政府の持分の5割が投入された銀行が不渡りの危機に瀕する中、不正を許さず自身の信念を貫こうとする経済官僚のチェ・イホンを演じるのは、「オクニョ 運命の女(ひと)」で日本でも注目を集めたコ・ス。監査の場で、「銀行に対する政府の処置が間違っていた」と発言し問題となり、事態を収拾するため委員長がクビを切られてしまう。その後釜に、野心家のホ・ジェ(イ・ソンミン)が座ることになる...というストーリーだ。
不正を許さない正義の男と目的のためなら手段を選ばない野心家の対立の中で、ウンギョンが演じているのは企画財政部の新任事務官イ・ へジュンだ。コネなどに頼らず実力でこの職を掴んだ正義感あふれる女性を、ウンギョンは引き締まった表情と堂々とした振る舞いで表現。暗い事務室で一人コンビニののり巻きを頬張りながらモニターを見つめているという地味なシーンですら、彼女の目には輝きが宿っており、一目でやる気に満ちた人物像が伝わってくるのだ。
■名優たちの熱演にも一歩も引かない鋭い眼差し
また、イ・ソンミン演じるホ・ジェと、講演者と研修生として向き合うシーンでは、地位の大きな隔たりをものともせず、熱を帯びた鋭い眼差しを浴びせ、見ているだけでハラハラするような緊迫感を生み出している。ベテランの名優たちを相手にも引けを取らない姿からは、子役時代から様々な役を経験し成長してきた、ウンギョンの役者としての自信が現れているかのようだ。
演技力がものを言うこの重厚な社会派作品で確かな存在感を見せているシム・ウンギョン。『サニー 永遠の仲間たち』での彼女しか知らない人は、別人のような表情に驚かされると同時に、その成長の凄まじさをまざまざと感じさせられることだろう。
文=HOMINIS編集部
放送情報
マネーゲーム(原題) 1話先行放送
放送日時:2020年6月7日(日)16:15~
※レギュラー放送は、6月24日(水)より毎週(水)(木)22:00~
チャンネル:Mnet
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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