無駄にイケメン？ソン・スンホンが演じ分ける"ハンサム"のバリエーション

正統派イケメン俳優として、第一次韓流ブームより第一線で活躍し続けるソン・スンホン。1990年代後半から2000年代初期頃は、その容姿を生かしてラブストーリーの常連だったが、近年は「プレイヤー～華麗なる天才詐欺師～」(2018年)の天才詐欺師役や、「偉大なショー(原題)」(2019年)での政治家役など、様々な役にチャレンジし俳優としての幅を一層広げている。次はどんな役を演じてくれるのかと楽しみな一方、またあの"完璧なハンサム"を生かしたラブストーリーも待ち遠しい...と思う韓流ドラマファンも多いのではないだろうか。

■最新ラブロマンスでは過去を引きずる紳士的な精神科医に

そんなスンホンの主演最新作といえば、韓国で間もなく放送がスタートとなる「夜ごはん一緒に食べますか？(原題)」。"おひとり様文化"が進んだことにより、恋愛感情が退化してしまった2人の男女が夕食を食べながら、お互いの魅力に気が付いていくラブロマンスで、スンホンは食事を通じて患者のメンタルを治療する独特な精神科医、キム・ヘギョンに扮している。

韓国では、作品の世界観を表現したロマンチックなポスターやトレイラーが早くから公開されており、まるで王子様のような白いタキシード姿のスンホンも注目の的に。だが、ヘギョンは、紳士的な態度が患者やメディアからウケてはいるものの、実は毒舌家で初恋に敗れその過去を引きずっているというひとクセありそうな人物。"完璧なハンサム"であるがゆえのギャップを生かして、そのキャラクター像に独自の深みを与えている。

■"パーフェクトな夫"を演じたラブコメディのハマりっぷり

一方、ハンサムかつ愛妻家という完璧な夫を演じた映画『ミス・ワイフ』(2015年)が、6月5日(金)にKBS Worldにて放送される。キャリアウーマンのヨヌ(オム・ジョンファ)が、突如として2人の子持ち主婦になってしまうラブコメディで、スンホンは、そんな妻と子どもたちに溢れる愛を注ぐ地方公務員の夫・ソンファンに扮している。

ソンファンは、職場では"区役所一のイケメン"と呼ばれ、街中でも主婦に噂されるほどのルックスの持ち主だが、性格は誠実そのもの。浮ついた行動もなく、愛する妻ひと筋ながら、ある日を境にヨヌは激変し、他人行儀になってしまうのだ。

それもそのはず、激変した妻の正体は、39歳独身の敏腕弁護士・ヨヌ。交通事故で意識不明となった彼女は、ある奇妙な男と契約し、元の生活に戻してもらう代わりに、誰にもバレずに"1ヶ月間だけ他人の人生を生きる"ことを選択。目を覚ますと、専業主婦のヨヌになっていた...といういっぷう変わった展開だ。

「恋愛も結婚も百害あって一利なし」が信条のキャリアウーマンだっただけに、パニックに陥るヨヌの混乱ぶりもさることながら、ユニークなのは"妻の心変わり"に狼狽えるソンファンの姿だ。

かつての妻とは性格が一転し、「顔だけの男」「無駄にハンサム」と罵られるソンファン...。それでも、「命を懸けて家族を守る」というモットーは曲げずに、誠心誠意、妻と向き合おうと奮闘する。非の打ちどころがない完璧な男という役どころも逆に難しいのではと思うのだが、スンホンに演じさせるとまったく違和感のないハマり役なのだ。

「夜ごはん一緒に食べますか？(原題)」も『ミス・ワイフ』もどちらも"完璧なハンサム"であるスンホンがベースにあるものの、それぞれ異なるハンサム像を作り上げているところは流石である。酸いも甘いも噛分け、俳優として熟成されつつあるスンホンのこれからのバリエーションも非常に楽しみである。

文＝津金美雪

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