2020年を代表する1本として、一大ブームを巻き起こした韓流ドラマ「愛の不時着」。北朝鮮将校、リ・ジョンヒョクの人気はすさまじく、ヒロインのセリ(ソン・イェジン)への献身ぶりや、部下からも厚い信頼を寄せられる理想の男性像は、性別を問わず見る者を魅了した。
そんなジョンヒョクというキャラクターの魅力もさることながら、ここまで人を夢中にさせるのは、演じたヒョンビン自身が纏う独特のオーラも大きな要因の一つだろう。今まで数々の作品で存在感を示してきたヒョンビンだが、大ヒットドラマ「シークレット・ガーデン」(2010年)で人気絶頂だった約10年前、入隊直前に出演した映画『レイトオータム』ではジョンヒョクと真逆の魅力を放ち、人々を虜にしていた。
KNTVにて12月8日(火)に放送される同作は、1966年の韓国映画『晩秋』をリメイクした恋愛ドラマ。物語は、暴力を振るう夫を殺してしまい刑務所に収監している中国系アメリカ人・アンナ(タン・ウェイ)が、母の葬儀のため3日間の外出を許されるところから始まる。
アンナはシアトル行きのバスの車内で、慌てて乗り込んできた "エスコート・サービス"を行っているという怪しげな韓国人男性・フンにバスの運賃を貸してほしいと頼まれる。心を固く閉ざすアンナは、最初こそフンを相手にしないが、街角で再会し二人で時間を過ごすうちに、少しずつフンに心を許し始める。
「愛の不時着」の生真面目なジョンヒョクとは正反対で、仕事内容からしても女性の扱いに慣れていそうなフンを演じたヒョンビン。顧客の夫に追われるというトラブルを抱えているものの気ままに刹那的に生きている、どこか飄々とした姿が印象的だ。
そんなフンに対して、アンナは、彼の理解できない中国語で今までの過去を全て告白する。フンは唯一分かる「良い」「悪い」の単語だけで相槌を打つのだ。思いつめたような顔で話すアンナに明るく「ハオ、ハオ(良い、良い)」と返すフン。それを見て初めてアンナの笑顔がこぼれる。
口元に無精ひげを蓄え、大人のムードを漂わせているフンだが、この時、ヒョンビンはまだ28歳という若さなのだから驚きだ。落ち着いたアンナとの恋愛模様、そして3分近くもある濃厚なキスシーンも話題になり、当時はタン・ウェイとの熱愛説まで飛び出るほどだった。
ちなみに、この相手役を務めたタン・ウェイは、巨匠アン・リー監督の映画『ラスト、コーション』(2007年)で国際的評価を得た中国のトップ女優。韓国・香港・アメリカ合作である今回の出演を機に、彼女が恋を成就させたのは、本作でメガホンを取ったキム・テヨン監督だった。その後、同監督とは結婚し、ヒョンビンとの熱愛説は誤解だったと判明するのだが、それほどまでにヒョンビンとの恋愛模様がリアルで、真に迫っていたという何よりの証といえるだろう。
硬派な男でも軟派な男でも女心をときめかせるヒョンビン。次回作は、名優と名高い演技派ファン・ジョンミンと共演する社会派映画『交渉』に出演予定だ。ロマンスがあってもなくても、期待は高まるばかりである。
文=津金美雪
放送情報
レイトオータム
放送日時:2020年12月8日(火)20:00~
チャンネル:スカチャン1(KNTV801)、KNTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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