除隊後復帰作に漂うチュウォンの色気...「視聴率王子」と呼ばれたその所以とは

大きな瞳が際立つ端正なマスクで人気を集めるチュウォン。ミュージカルで頭角を現したのち、TVドラマ初出演となった「製パン王 キム・タック」(2010年)が驚異の視聴率58.1％を叩き出したことで一気にブレイク。続いて出演した「烏鵲橋の兄弟たち」(2011年)、「カクシタル」(2012年)が軒並みヒットすると、瞬く間に"視聴率王子"と呼ばれる人気者へと成長した。

その後も、エリート警察官をクールに演じ多くの女性ファンを沸かせた犯罪ロマンス映画『ハート泥棒を捕まえろ！』(2013年)をはじめ、山崎賢人(※「崎」は正しくは「立さき」)の主演で日本でもリメイクされた「グッド・ドクター」(2013年)、玉木宏＆上野樹里主演のドラマ版でも話題を集めた大ヒット漫画が原作の「のだめカンタービレ～ネイル カンタービレ」(2014年)と、話題作が相次いだチュウォン。

極めつけは、"韓国で最も美しい女優"と言われたキム・テヒとのW主演作「ヨンパリ 君に愛を届けたい」(2015年)での"ヨンパリ(闇医者)"役。本作がその年のSBS演技大賞の大賞を含む計6冠に輝き、名実ともにトップ俳優の仲間入りを果たすこととなった。

そんなチュウォンの入隊前最後の作品となったのが、同名大ヒット映画を朝鮮時代に置き換えリメイクされた時代劇ドラマ「猟奇的な彼女」(2017年)だ。

彼が演じたキョヌは、"朝鮮の国宝"とまで呼ばれるほどの天才的な頭脳を持つ身でありながら、じゃじゃ馬なプリンセスに振り回される不運の男...。容姿端麗で様になる官服姿もさることながら、"猟奇的な"ヒロインとの好対照なコンビは相性もぴったりで、チュウォンのコミカルな演技も高い評価を集めた。

最新の出演作は、昨年10月に韓国放送を終えたばかりのSFラブストーリー「アリス」(2020年)。除隊後復帰作にして3年ぶりのドラマ出演となったファン待望の1作だ。

先天性の"失感情症"を抱える刑事パク・ジンギョム(チュウォン)が、死んだ母親にそっくりな天才物理学者の女性テイ(キム・ヒソン)と出会ったことから始まっていく時間旅行。時空を超えるシステム"アリス"が存在する2050年と現代とを行き来する本作で、ジンギョムは"アリス"を巡る不可解な謎を解明するべく奔走する――。

一見、難解なストーリーながら、既存の枠組みを超えた壮大なスケールや映像美は必見。そんな異色のSFワールドの中で、チュウォンは胸を締め付けられるようなシリアスな表情や熱のこもった芝居を見せ、軍隊で鍛えた肉体を生かしたハードなアクションシーンにも挑戦している。

兵役を経て人間としても大きな成長を遂げ、30代を超えた今もますます魅力的に放たれる色気がたまらないチュウォン。未体験の映像ワールドが広がる意欲作「アリス」で、俳優として成熟した彼の魅力にどっぷり漬かってほしい。

文＝川倉由起子

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