この展開は中毒に...！ソ・イングクの俳優人生の転機となった風変わりなブロマンス

ある時は不器用な"釜山男子"(「応答せよ1997」)や、子犬のように無邪気な財閥3世(「ショッピング王ルイ」)、またある時には人の心をゲーム感覚で弄ぶ危険な男(「空から降る一億の星」)と、これまで役柄に応じてさまざまな魅力を開花させてきた俳優、ソ・イングク。

野暮ったい面持ちやくしゃっとした笑顔、鋭い眼差し...など作品ごとにイングクが見せてきた象徴的な表情がすぐさま思い浮かぶのだが、そうした彼の豊かな感情表現がギュっと濃縮されたドラマが「元カレは天才詐欺師～38師機動隊～」だ。

アジアドラマチックTV (アジドラ)にて3月18日(木)より放送される同作は、市役所の税金徴収課で働くペク・ソンイル(マ・ドンソク)と彼に詐欺を働いたヤン・ジョンド(ソ・イングク)がひょんなことからタッグを組み、正攻法では太刀打ちできない悪質な高額税金滞納者たちに詐欺を仕掛けて税金回収する痛快エンタメドラマだ。

イングクが扮する詐欺師のジョンドは、頭の回転が早く度胸十分、時に見せる人懐っこい笑顔も魅力的な人物で、国税庁の税収情報課を名乗り悪徳税理士に揺すりを掛けたり、市役所の都市開発課に偽装して悪い経営者に嘘の都市開発情報を流したり...と、とにかく変幻自在。ターゲットがジョンドを疑うような素振りを見せれば、「この話は白紙にしましょう」と自信たっぷりに言って見せる駆け引きのうまさも持ち合わせている。

会話のワンシーンをとってみても、税金を巧妙に逃れてきた悪人たちを騙すのだから、その手練の技はお見事。相手を追求するような鋭さを見せたかと思えば、逃げ道をつくってやるようなしたたかな笑顔に豹変、本題に入る前にさりげなく視線を外すこなれたテクニックまで披露してくれる。そこにストーリーのテンポの良さ、ジョンドの正体がバレるのでは...というドキドキ感まであって、高額税金滞納者たちを懲らしめた時の爽快感はたまらない。

さらに、初めは騙し騙されという関係だったちょっと鈍くさいソンイルと徐々に信頼関係が芽生えていくブロマンスや、ソンイルの部下でありジョンドの元恋人ソンヒ(少女時代・スヨン)とのぎこちない恋模様、ジョンドが詐欺を働く本当の目的が徐々に明らかになり...と、最後まで引き込まれる中毒性あふれる展開となっている。

イングクは、本作で演技の幅を見せつけ「第11回アジアドラマアカンファレンス」で表彰されるなど高い評価を獲得。過去のインタビューでも「自分の演技を見て満足した作品であり、演技人生のターニングポイント」と明かしており、彼にとっても本作は特別な作品のようだ。

今年は「ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた」で約2年半ぶりのドラマカムバックが決まっているイングク。彼が扮する"滅亡"という不思議なキャラクターは、神と人間の中間管理者のような存在とのことだが、一体どんな演技を見せてくれるのだろうか。彼が実力で引き寄せる個性的な配役を今後も楽しみにしたい。

文＝津金美雪

この記事の全ての画像を見る