一大ブームを巻き起こした韓流ドラマ「愛の不時着」(2019年)において、ソン・イェジン&ヒョンビンが演じた"大人のカップル"が、多くの視聴者たちの憧れとなったことは言うまでもない。特にヒョンビンが体現した、相手に"女性らしさ"を求めることのない強く優しいリ・ジョンヒョクは、現代女性にとって理想の男性だったような気がする。
「愛の不時着」で3度目のブレイクとも言われるヒョンビンだが、その最初のブレイクとなった出世作「私の名前はキム・サムスン」(2005年)では、ツンデレな年下御曹司を演じ"ヒョンビン病症候群"という言葉が誕生してしまうほど世の女性を虜にした過去がある。
Mnetにて展開中の特集「夏の3大まつり」内の1作として8月9日(月)より放送となる「私の名前はキム・サムスン」は、ちょっと太めなパティシエのサムスン(キム・ソナ)と傲慢なイケメン御曹司ジノン(ヒョンビン)が織り成すラブコメディ。
顔立ちやスタイル、年齢にシビアな韓国社会の中で、体型が太めであること、名前が古臭いこと、そして30歳を目前に恋人に振られたこと...など、誰もが持つようなコンプレックスを抱えながらもたくましく生きるサムスンの姿は多くの女性の共感を呼び、最高視聴率50.5%を記録したレジェンド的作品だ。
初対面の時には平気で「おばさん」とサムスンに言ってのけるジノンだが、母親からのお見合い攻撃から逃れるために"偽装恋愛"の契約を持ちかけたことから、彼女との距離が近づいていく。そして、「あなたは魅力的だ。それに気付いてないのもまた魅力的だ」とコンプレックスに悩む彼女を受け止め、「嫌なんだ。他の男の目を見たり、熱心に話を聞いたり、なぜかわからないけどイヤだ」と本心からの嫉妬で甘えたりと、実はとってもキュートな男性であることが明かされていく。
ありのままの自分の魅力に気が付いてくれ、「(偽装恋愛の)契約を訂正しよう。両者は100年間付き合うフリをする。スキンシップは可」なんてちょっと強がった告白までしてくれる年下男性の出現は、女性視聴者たちをドラマに釘づけにした一因に違いない。また、当時22歳のヒョンビンだからこそ演ずることのできた不器用でストレートな愛情表現も素晴らしく、サムスンのように失恋直後だったとしても彼に惹かれずにはいられない。
さらにサムスン役の名女優キム・ソナに引っ張られるようにして出来上がったという、ジノンがご飯粒を吹きかけられるシーンや、寝ぼけたジノンがサムスンの顔を蹴るシーンなど、コミカルな名場面での2人の相性も抜群。ヒョンビン自身も本作を経験したことで「現場で相手の演技を見て、それに合わせて演技をするなど応用できるようになりました」と過去に語っている。
その時々の年齢でこそ魅力的に演じられるキャラクターで、パートナーと最高のケミストリーを見せてきたヒョンビン。放送当時の世間が抱く理想の男性像でありながら、どこか普遍的でもある名キャラクターの数々は、15年が経っても色褪せることなく、韓流ドラマファンの心に刻まれ続けている。
文=津金美雪
放送情報
私の名前はキム・サムスン
放送日時:2021年8月9日(月)13:00~
※毎週(月)~(木)13:00~
チャンネル:Mnet
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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