「自ら運命を切り拓く女性像」に抜群の説得力！チャン・ツィイーの華やかなキャリア

映画初出演にして主演を務めた『初恋のきた道』(1999年)での本格的な女優デビューから早20数年...。中華圏はもちろんハリウッドでも活躍し、国際派女優としてキャリアを築き上げてきたチャン・ツィイー。そんな彼女が初めて連続ドラマに主演し話題を呼んでいるのが、9月1日(水)より日本初放送を迎える歴史スペクタクル「上陽賦～運命の王妃～」だ。それに合わせて、ツィイーの出演した映画も9月5日(日)にWOWOWにて一挙放送される。

今やアジアを代表するトップ女優となったツィイーだが、20数年に及ぶ輝かしいキャリアはいかなるものだったのか？その軌跡を辿ってみたい。

中国の名匠、チャン・イーモウ監督によって見出され、『初恋のきた道』で純朴な18歳の少女を演じたツィイー。都会から来た牧師に恋した彼女が、想いを必死に伝えようとするひたむきさは、多くの人の心に響き、第50回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞するに至った。

さらにその翌年には、アン・リー監督による武侠映画『グリーン・デスティニー』(2000年)に出演。名優チョウ・ユンファやミシェル・ヨーらと肩を並べると、米アカデミー賞で外国語映画賞ほか4部門受賞という国際的評価を受けて、一気にその名を世界に知らしめることとなった。

2001年には、ジャッキー・チェン主演のアクションコメディシリーズ『ラッシュアワー2』で早くもハリウッドに進出という順調すぎるキャリアを築いていく。それと並行して、アジア圏の武侠作品でも存在感を発揮。故郷を目指し、砂漠を横断する高麗の使節団を描いた2001年の韓中合作『MUSA－武士－』(WOWOWシネマにて9月5日放送)では、物語の鍵を握る明の姫役で出演。チョン・ウソン、チュ・ジンモら韓国のトップ俳優との共演を経験した。

2002年の『HERO』(WOWOWシネマにて9月5日放送)ではイーモウ監督と再タッグ。紀元前200年、戦乱のさなかの中国を舞台に、後に始皇帝となる秦王の暗殺を企てる刺客たちの姿を描いた本作では、ジェット・リー、トニー・レオンらと共に刺客の一人として名を連ね、本格的なアクションに挑んでみせた。

さらにその2年後、2004年には同じくイーモウ監督の武侠映画『LOVERS』(WOWOWシネマにて9月5日放送)に出演。前作同様、美しい色彩と伝統的なワイヤーアクションが散りばめられた時代絵巻の中で、盲目の踊り子に扮したツィイー。金城武を相手に、情熱的なラブシーンも披露するなど、策略と愛が絡み合った男女の複雑な関係を体現した。

その後も、S・スティルバーグ製作、ロブ・マーシャル監督のハリウッド映画『SAYURI』(2005年)で、主人公となる日本の芸者を演じたほか、ウォン・カーウァイ監督のアクション『グランド・マスター』(2013年)では、4年がかりの壮絶なトレーニングで初の本格カンフーに体当たりで挑むなど、ビッグネーム揃いのフィルモグラフィーを築き上げてきたツィイー。

近年も、ハリウッド版ゴジラ『GODZILLA ゴジラ』の続編『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)に出演し、『SAYURI』以来となる渡辺謙との再共演も話題を集めたほか、北稜からのチョモランマ登頂を目指した中国の登山隊の実話に基づいた2019年の『クライマーズ』(WOWOWシネマにて9月5日放送)では、ジャッキー・チェンとも再共演。国際的な活躍ぶりは健在だ。

そんな彼女にとって新たな挑戦となった「上陽賦～運命の王妃～」は、架空の古代中国を舞台に、王朝に渦巻く激しい権力闘争を描いた歴史スペクタクル。皇帝一族の血を引き上陽郡主の名を授かったヒロインには、幼なじみの恋人がいたが、一介の兵士から将軍の地位へと上り詰めた権威ある豫章王と政略結婚することに。愛のない結婚にすれ違いながらも、2人は次第に心を通わせ、国の苦難を乗り越えていく重厚なドラマに仕上がっており、ツィイーは、過酷な運命に立ち向かう王妃として、抜群の存在感を見せつけている。

40代になっても以前と変わらぬ美貌と円熟味を増した演技力、そして常に挑戦し続ける姿勢で、国際派女優としてアジアのトップに君臨し続けてきたチャン・ツィイー。そんな彼女だからこそ「上陽賦～運命の王妃～」での"自ら運命を切り拓く女性像"に、抜群の説得力をもたらしているのだ。

文＝HOMINIS編集部

この記事の全ての画像を見る