「D.P.」と「スノードロップ」のギャップも話題に！優しい笑顔を封印したチョン・ヘインの挑戦

「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年)で"国民の年下彼氏"と呼ばれるほど絶大な人気を獲得したチョン・ヘイン。振り返れば2021年も大活躍を見せ、早くもシーズン2の製作が決定した「D.P.−脱走兵追跡官−」や、BLACKPINKのジスとの共演でも話題の「スノードロップ」など主演作が相次いでいる。

前者では、脱走兵を追跡する部隊に配属された無口で苦悩を抱えた軍人を熱演。バディを組んだク・ギョファンとのブロマンスが大いに話題を呼んだ一方、1987年を舞台にした後者では、民主化運動の最中、厳しい監視と危険な状況で繰り広げられる切ないラブロマンスに挑戦。異なるテイストの両作品で、自身の魅力を存分に発揮した。

そんなヘインのひと味違った魅力を味わえるのが、年初めにスターチャンネル1にて一挙放送される特集「"今年も"観るべき韓国映画10選」にラインナップされている映画『スタートアップ！』(2019年)だ。ハリウッドでも活躍する俳優マ・ドンソクが"おかっぱ頭のシェフ"という強烈キャラクターに扮した本作は、不良少年・テギル(パク・ジョンミン)が家出した先の食堂でシェフと出会い、そこで働くうちに成長していく...というコメディ。不穏なオーラを放つドンソクもさることながら、"演技の天才"と呼ばれる若手実力派のパク・ジョンミンの存在感もまた鮮烈だ。

本作でヘインが演じているのが、テギルの親友・サンピル。早くお金を稼ぎたい一心で社会に飛び出し、高利貸しの会社の下っ端として働くことになるやんちゃな少年だ。また、ヘインにとっては、大ブレイクを果たした「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年)直後の出演という点も見逃せない。

親友のテギルを相手に「金持ちになる」とビッグマウスを叩いたり、仕事を手に入れ浮かれたりと、序盤はどこか憎めないところのあるコミカルな一面も。しかし、野心ある若者が裏社会の洗礼を受けて荒っぽく変わっていく過程において、ヘインは徐々に優しい眼差しや笑顔を封印していく。

仕事を始めた頃のサンピルは、取り立てに戸惑うような様子を見せていたが、慣れるにつれて債務者を鬼のような表情で追いかけ、冷たい視線や怒号を浴びせたり、バイクのミラーを豪快に蹴り壊したり...。怒りを爆発させた姿で、ヘインは代表作で築いてきた温厚なイメージを覆している。それでいながら、エスカレートしていく裏稼業への葛藤など、日々揺れ動く若者の心の内面を繊細に表現。どこか良心を捨てきれない表情も覗かせており、物語に深みをもたらしている。

ドンソク扮する破壊力抜群のキャラクターがいる中で、コミカルさと荒々しさ、さらにナイーブさを巧みに使い分けた丁寧な演技で存在感を放っているヘイン。20代と言われても違和感のないビジュアルだが、今年は34歳。"年下彼氏"のイメージから脱却し、ギャップのある役柄に挑み続ける彼の、役者としての心意気や実力の高さに改めて驚かされた。

文＝HOMINIS編集部

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