タイ発の青春ドラマ「SOTUS」や「2gether」などの爆発的なムーブメントもあり、アジア各国で良質なBLドラマが多数誕生している昨今。ドラマ大国の韓国でもそれは同様で、後に映画化もされた韓国初のBLドラマ「君の視線が止まる先に」(2020年)以降、続々と新作が発表されている。
その中で"時代劇BL"という新たなジャンルを開拓した作品が、7月7日(木)にホームドラマチャンネルで放送される「リュソンビの婚礼式」(2021年)。日本でもBLドラマ人気が高まる今、コミカルな時代劇BLは新鮮に映るだろう。
朝鮮王朝時代が舞台となる「リュソンビの婚礼式」は、とある事情で妻となるはずだった女性の兄を"花嫁"に迎えてしまった騒動の顛末を描くロマンス時代劇。
親同士が取り決めた政略結婚により、顔も知らない相手との婚礼式を迎えてしまった名家の息子リュ・ホソンを演じるのは、MYNAMEのカン・インス。"音楽BL"として注目を集めた「Wish you~僕の心の中、君のメロディー」(2020年)でドラマ初挑戦にして初主演を務め、アイドルというキャリアを活かした歌手役やOSTが話題を呼んだことも記憶に新しい。
そして、続くドラマ2作目がこの時代劇BL「リュソンビの婚礼式」。間髪空けずにBLドラマに連続起用されたわけだが、インスの色白で端正なビジュアルを見れば、それも納得だ。
インスが演じた心優しい新郎・ホソンは、チェ家の美しい娘・ファジンを娶ったかと思いきや、初夜は酒を飲んで泥酔してしまう。翌朝目覚めてみると隣にいるはずの花嫁は、ファジンの兄・キワンだった。女人の衣を着て美しく化粧が施された姿ではあるものの、その声色は男そのもの。話を聞けば、嫁に行くはずだった妹が行方知れずになり、少しの間自分が花嫁の代わりを務めるという。
美しいルックスもさることながら、キワンの説明に押し切られてありえない状況を受け入れてしまうホソンの愛嬌たっぷりなお人よしぶりが可愛らしい。花嫁が男性とわかった衝撃の中でもキワンの顔をまじまじと見つめ、「たしかに女性に見える...」と納得してしまうホソンの素直さがなんともチャーミングだ。
こうしてホソンとキワンは、花嫁の兄が身代わりを務める"偽装結婚"という秘密を共有するうちに徐々に距離を縮めていく。キワンを演じるイ・セジンは、サバイバルオーディション番組「PRODUCE X 101」でファイナリストとして注目された逸材だが、実は俳優としても2011年の映画『水の温度』で既にデビュー済み。韓国2作目のBLドラマ「Mr.ハート」(2020年)でも、マラソンのエース選手に思いを寄せる大学生を好演した。
小柄で華奢な体型だけあって、華やかな韓服をまとったセジンの姿に違和感はなく、劇中、姑がキワンと何度も顔を合わせながらも男性だと気づかないのも納得の愛らしさだ。さらに、ホソンの妻を狙う危険な男・テヒョンを、韓国初のBLドラマ「君の視線が止まる先に」に出演したチャン・ウィスが演じている点もポイント。韓国BLドラマ三銃士ともいうべき豪華な顔ぶれが、偽装結婚ロマンスを盛り立てている。
本作が韓国初の時代劇BLであることについて、「韓国の"美"や韓服や韓国の伝統をお見せできてうれしいです。BL作品は韓国だけでなく世界中で人気ですが、そこに韓国の時代劇を融合できるのも光栄です。韓服も多くの色がありますし、実際に着てみると実に美しいので...」と、放送前のインタビューで明かしていたインス。その言葉通り、絢爛豪華な衣装やしつらえ、儀式のきらびやかさが非日常性を醸し出し、"花嫁が男だった"というファンタジックな設定も、思いのほかすんなりと受け入れることができる。
そして何より、インスをはじめとしたメインキャストの美しさ。凛々しい韓服姿のホソンとキワンが顔を寄せ合うビジュアルは、現代劇よりもどこか刺激的で、その甘美さにうっとりしてしまう。BLと時代劇の魅力を融合させた新ジャンル"韓国BL時代劇"で、その独特の世界観をじっくりと堪能したい。
文=酒寄美智子
放送情報
リュソンビの婚礼式
放送日時:2022年7月7日(木)21:00~(8話連続放送)
チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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