『ダイ・ハード』から最近作までブルース・ウィリスが彩った映画の軌跡

クリスマスパーティー中にテロリストに襲われた刑事の熾烈な戦いを描く『ダイ・ハード』
クリスマスパーティー中にテロリストに襲われた刑事の熾烈な戦いを描く『ダイ・ハード』

(C) 1988 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

『ダイ・ハード』から最近作までブルース・ウィリスが彩った映画の軌跡

シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ハリソン・フォード、メル・ギブソン...多くのスターがスクリーンで大暴れした1980年代は、アクション映画のゴールデン・エイジだった。並みいるアクションスターの中で、もっとも親しまれた俳優の一人がブルース・ウィリスである。『ダイ・ハード』(1988年)を代表作とするアクションをはじめ、コメディやシリアスなど多彩なフィルモグラフィーには時代を超えて愛されている傑作、秀作がずらりと並ぶ。ここでは彼の代名詞であるアクション映画を中心に、その足跡を振り返ってみたい。

ブルース・ウィリスは1955年生まれ。舞台俳優としてキャリアをスタートし、1980年代から端役で多くのドラマや映画に出演した。そんなウィリスの転機となったのが、1985年に主演したコメディタッチのサスペンスドラマ「こちらブルームーン探偵社」だ。お調子者の探偵を演じたこの作品は4年も続く人気作となり、エミー賞やゴールデン・グローブ賞に輝いたウィリスはその名を広く知らしめた。

そのさなかに主演したのが、彼の代表作となる傑作アクション『ダイ・ハード』だった。ウィリスが演じたのは、別居中の妻が勤める企業のクリスマスパーティーに出席したため、テロ組織のビル占拠事件に巻き込まれるジョン・マクレーン刑事。たった一人で狡猾なテロリストと戦う役どころである。スタローンやシュワルツェネッガーのような鋼の肉体を持たないウィリスだが、逆にランニングシャツに裸足という普段着のおじさんが、知力と体力の限界に挑む姿に世界中が熱狂(ちなみに公開当時ウィリスはまだ33歳)。この作品の大成功で、ウィリスはトップスターの仲間入りをした。

『ダイ・ハード2』では、刑事マクレーンが麻薬組織に立ち向かう
『ダイ・ハード2』では、刑事マクレーンが麻薬組織に立ち向かう

(C) 1990 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

大ヒット=シリーズ化の動きが顕著になり始めたこの時代、2年後にはさっそく続編『ダイ・ハード2』(1990年)が公開。またもクリスマスの日、空港に妻を迎えに行ったマクレーンは、アメリカに護送される麻薬王奪還を図る傭兵部隊との戦いに巻き込まれる。アクション、サスペンス、スケールのいずれもが増量した第2弾は前作を超える大ヒットを記録し、ウィリスの人気を不動のものとした。その後も『ダイ・ハード3』(1995年)、『ダイ・ハード4.0』(2007年)、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(2013年)が公開され、世代を超えて愛されるロングシリーズに成長。マクレーン役で人間くさい救世主役が板に付いたウィリスは、『12モンキーズ』(1995年)、『フィフス・エレメント』(1997年)、『アルマゲドン』(1998年)などでも世界を救う頼れるタフガイを熱演した。

派手なアクション&スペクタクルがよく似合うウィリスだが、一方で『シックス・センス』(1999年)に代表される繊細な演技でも高く評価されている。第二次世界大戦中の捕虜収容所を舞台にした『ジャスティス』(2002年)もその一つ。ドイツの捕虜収容所で起きたアメリカ兵殺人事件をめぐるサスペンスで、ウィリスはアメリカ人捕虜を仕切るたたき上げのマクナマラ大佐を熱演した。さりげない表情や目の動き、静かなセリフ回しで雄弁に感情を語るウィリスの名演にも注目してほしい。

プロの殺し屋・グッドキャットに扮した『ラッキーナンバー7』。彼にはある秘密があり...
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(C)2005 Film & Entertainment VIP Medienfonds 4 GmbH & Co. KG All Rights Reserved.

「こちらブルームーン探偵社」でブレイクし、ラブコメ『ブラインド・デート』(1987年)で本格スクリーンデビューを飾ったウィリスは、コメディ俳優としても高い実力の持ち主。アクションやサスペンスの合間に絶妙なユーモアを挟み込むなど、シリアスと笑いをブレンドしたキャラクターは十八番である。そんなウィリス節が味わえる作品の一つが『ラッキーナンバー7』(2006年)。演じるのは物静かな殺し屋で、容赦ない仕事ぶりと情の厚さのバランス感は脱帽ものだ。

『エクスペンダブルズ』ではCIAに所属し、主人公らに依頼を行う男に
『エクスペンダブルズ』ではCIAに所属し、主人公らに依頼を行う男に

(C) 2010 Alta Vista Productions, Inc All Rights Reserved.

『オーシャンズ12』(2004年)に本人役で出演するなど、カメオや特別出演でもたびたび茶目っ気を発揮しているウィリスだが、そんな「特別枠」の決定版が『エクスペンダブルズ』(2010年)である。スタローン、シュワルツェネッガー、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ロークら1980年代アクションスターの同窓会ともいうべき本作で、ウィリスは傭兵部隊エクスペンダブルズに仕事を依頼するCIA諜報員ミスター・チャーチ役で出演。出番こそ少ないが、スタローン、シュワルツェネッガーとの奇跡の3ショットは、アクション映画ファンならずとも胸躍る名シーンとなった。

若き日の自身と対峙する重厚感ある演技は必見(『LOOPER/ルーパー』)
若き日の自身と対峙する重厚感ある演技は必見(『LOOPER/ルーパー』)

(C)2012 LOOPER DISTRIBUTION,LLC.ALL RIGHTS RESERVED

人気スターでも浮き沈みのある映画界で、ウィリスが長くトップランナーを務めた秘訣の一つが作品チョイスの妙にある。メジャースタジオの大作だけでなく、クエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』(1994年)やテリー・ギリアムの『12モンキーズ』、無名時代のM・ナイト・シャマランの『シックス・センス』、ウェス・アンダーソンの『ムーンライズ・キングダム』(2012年)など若手や異色監督たちのクセの強い作品にも積極的に出演し、高い評価を獲得した。『LOOPER/ルーパー』(2012年)もその一つで、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017年)のライアン・ジョンソンの出世作。タイムマシンを悪用する犯罪組織の仕事を請け負う殺し屋ジョーが、30年後の自分と対峙するSFアクションだ。ウィリスが演じたのは、ジョーの標的にされる、彼の30年後「オールド・ジョー」。涼しい顔で若き日の自分を手玉に取ったり、ガンアクションを披露したりと大活躍が楽しめる。主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットの顔つきをウィリスに似せたメイクも見どころで、特殊メイクを『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017年)と『スキャンダル』(2019年)でアカデミー賞を2度受賞した辻一弘(現:カズ・ヒロ)が手掛けている。

家族を襲われ復讐の鬼と化した外科医を怪演した『デス・ウィッシュ』
家族を襲われ復讐の鬼と化した外科医を怪演した『デス・ウィッシュ』

(C) 2018 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

50代後半になっても機敏な動きを見せたウィリスだが、その後も積極的にアクション映画に出演。チャールズ・ブロンソンの代表作『狼よさらば』(1974年)のリメイク『デス・ウィッシュ』(2018年)は、妻を殺された男の復讐劇。主人公が建築家だったオリジナルに対し、ウィリスが演じたポール・カージーは温厚な外科医。人助けをする医師が、壮絶な自警活動に染まっていく様がスリリングに描かれる。

一方『コズミック・シン』(2021年)は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)などのマーベル作品でも活躍した新世代のアクションスター、フランク・グリロと共演したSFアクション。悪名高き元武闘派将軍ジェームズ・フォードを演じたウィリスは、地球を飛び出しド派手なバトルを繰り広げる。B級丸出しのテイストで、パワードスーツに身を固め大暴れするウィリスを素直に楽しむ作品だ。

ウィリスがパワードスーツを着て異星人とのバトルを展開!(『コズミック・シン』)
ウィリスがパワードスーツを着て異星人とのバトルを展開!(『コズミック・シン』)

(C) 2020 Cosmic Sin LLC All rights reserved

2022年3月、失語症により俳優人生に幕を下ろしたウィリス。シニア世代に突入し、ますます勢いづいていた矢先の一報だけに衝撃を受けたファンも多いはず。どうやらスクリーンへの復帰は難しそうだが、彼が出演した多くの作品たちは時代を超え、永遠に語り継がれていくだろう。

文=神武団四郎

神武団四郎●映画ライター。「映画秘宝」「MOVIE WALKER PRESS」「シネマトゥデイ」などへの寄稿、パンフレットの執筆、編集など。編書に「別冊映画秘宝 絶対必見!SF映画200」(洋泉社)など。監修書に「テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトデザイン画集」(玄光社)、「メイキング・オブ・007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(玄光社)など。ゴジラよりコング派。


放送情報

ダイ・ハード
放送日時:2022年10月15日(土)16:00~
ダイ・ハード2
放送日時:2022年10月15日(土)18:30~
コズミック・シン
放送日時:2022年10月15日(土)11:30~
LOOPER/ルーパー
2022年10月7日(金)23:15~
デス・ウィッシュ
放送日時:2022年10月15日(土)9:00~
チャンネル:ムービープラス

10ミニッツ
放送日時:2022年10月13日(木)10:45~
エクスペンダブルズ [R15+]
放送日時:2022年10月16日(日)17:00~
エクスペンダブルズ2 [PG12]
放送日時:2022年10月16日(日)19:00~
ラッキーナンバー7 [R-15]
放送日時:2022年10月4日(火)14:30~
チャンネル:ザ・シネマ

ダイ・ハード4.0[吹]
放送日時:2022年10月1日(土)3:30~
チャンネル:スターチャンネル3

ジャスティス
放送日時:2022年10月5日(水)16:30~
チャンネル:WOWOWプラス

ジャッカル
放送日時:2022年10月5日(月)9:50~
チャンネル:WOWOWプライム

ジャッカル
放送日時:2022年10月17日(月)5:30~
アウト・オブ・デス
放送日時:2022年10月4日(火)15:15~
ブルース・ウィリス ドント・サレンダー 進撃の要塞
放送日時:2022年10月25日(火)17:05~
チャンネル:WOWOWシネマ

※放送スケジュールは変更になる場合があります



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