誰よりも正義感が強く、最後までアーサー王への忠誠を誓うランスロットを演じるのは中村。湖の乙女を演じる沢城とのコミカルな掛け合いや、友人である杉田演じるモードレッドとの怒涛の会話劇を交えながら、ランスロットという勇敢な人物を立体的に演じていた。ランスロットと相対するキャラクターとして描かれていたのがモードレッドだ。モードレッドは円卓の騎士になることができない真相を知り、呪いの道へと足を踏み入れてしまう。しかし、アーサー王が自身を大切に思っていたことを知り、改心していく......。最初こそ情の厚い人物として描かれていたモードレッドが闇へと堕ちていくシーンでは、憎しみや怒りなど様々な感情が入り混じった杉田の演技に胸を打たれた。
物語の鍵を握るアーサー王がアヴァロンへと旅立つ際に、湖の乙女と久しぶりの再会を果たすシーンでは抑揚を交えつつ、「それでも運命に逆らいたくなる。それが人というものだ。だから、許せ。人を」といった言葉で諏訪部がアーサー王の抱える葛藤を見事に表現。それを優しく受け止める沢城の包容力も素晴らしく、しんと静まり返った会場からは何度も鼻をすする音が聞こえてきた。
誠実な太陽の騎士・ガウェインを豪快に演じた安元、頭脳派ながらコミカルな笑いを掻っ攫っていくガレスを誠実に演じた梅原、子どもたちに希望を託す心優しき偉大な魔法使いマーリンを迫力たっぷりに演じた大塚も欠かせない存在となっていた。中でもマーリンがモードレッドを杖で物理的に殴るシーンは大塚の熱のこもった演技に子どもたちへの愛情を深く感じられ、目頭が熱くなった。
新たな視聴体験を届けてくれた「ROAD to AVALON」。声優陣が織りなす声の演技、アーサー王伝説の世界観を彩る生演奏による音楽、アーサー王の生き様を丁寧に描いた脚本、それらが全て揃うことで、聴衆の1人として作品の世界に存在しているかのような没入感を堪能することができた。
本公演の千穐楽公演については2024年5月21日(火)までアーカイブ配信で何度も視聴することができるだけではなく、アーカイブ視聴特典として配信されている「全キャストからのスペシャルコメント」も視聴することができる。実際に観劇できた方はもちろん、観ることができなかった方も新たな体験を味わってみてほしい。
取材・文=川崎龍也
公演情報
音楽朗読劇 READING HIGH 『ROAD to AVALON』
公演日時:
2024年5月11日(土) <夜の部>開場17:00/開演18:00
2024年5月12日(日)<昼の部>開場11:30/開演12:30 <夜の部>開場17:00/開演 18:00
会場:東京ガーデンシアター
【PIA LIVE STREAM】
配信公演:2024年5月12日(日)18:00公演
販売期間:~2024年5月21日(火)20:00
アーカイブ視聴期間:~5月21日(火)23:59まで
国内チケット販売URL:https://w.pia.jp/t/rh12/
海外チケット販売URL:https://w.pia.jp/a/pls-rh12/
※国内・海外ともに字幕はございません。ご了承ください。
配信チケット:¥4,300
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