毎年行われている「Kiramune Presents READING LIVE」。8回目となる今年のタイトルは「密室の中の亡霊 幻視探偵」。10月27日に千葉・舞浜アンフィシアターで行われた、上村祐翔、神谷浩史、木村良平、千葉翔也、野島健児、古川登志夫、吉野裕行、代永翼が出演した、千秋楽となる夜公演の模様をレポートする。
本作は「幻視探偵」という二つ名を持つ名探偵が、助手と共に100年前に起きた「黒書館」での密室殺人事件の真相を探るというストーリー。時計の針の音と共にステージの幕が上がると、高慢な態度を取る名探偵・暁玄十朗(神谷)が、彼と対等に意見を交わす助手の斗真摂理(吉野)と掛け合うシーンから始まった。神谷と吉野が作り出すリズミカルなテンポで早くも観客を魅了すると、直後に登場する三条透(千葉)の依頼で、事件の真相を究明すべく舞台は「黒書館」へ。
序盤は書生・田辺清(上村)の書いた当時の記録を基に、現場の謎について次々と玄十朗が的確な答えを披露。2人の巧みなセリフ回しで観客の心をわしづかみにすると、密室殺人事件の真相を暁が3通りの幻視で見せ、当時の登場人物たちが事件の状況を再現した。
容疑者となる人物たちは作家・笹木三郎を代永、軍人・鹿島正次を木村、医師・浅野宗一を野島がそれぞれ熱演し、殺人を犯すまでの心の葛藤を見事に表現した。しかし、玄十朗自ら、推理に穴があることを嘆くなど、物語は二転三転。玄十朗は自信をなくし、真相の究明は暗礁に乗り上げてしまう。
その自信をなくした玄十朗を、神谷はリズムの悪い重々しい口調で表現。過去の事件のトラウマも加わり、シリアスな展開が繰り広げられる。逆に、摂理の助言で真実にたどり着いた時は、軽快なトークで途端に冗舌になり、場の雰囲気をガラリと変えて話の流れにメリハリをつけた。全体として、ストーリー展開の大部分を握っていた神谷、吉野のセリフは膨大な量だったようで、そんな彼らを他のキャスト陣が支える形で舞台はクライマックスに突入。フィナーレを迎えると盛大な拍手が観客から送られた。
終演後のあいさつでは、ライブビューイング用のカメラに手を振る代永が「神谷さんと吉野さんのセリフの量が多くて、それを支えられるように頑張ろう」と思ったことを吐露し、「自分の芝居の見方や、やり方が発見できてすごく楽しかった」と振り返った。木村は「今年はKiramuneらしからぬ真面目な芝居。大体は途中でおかしいことをするんですけど、全部真面目っていうのもいいですね」と冗談交じりに話すと、野島は「声のお仕事は、直接人の心に触れて良いものを与えていけるもの。人を救うという意味で役割が近い存在のお医者さん役ができて嬉しかったです」と語った。
リーディングライブ初出演だった千葉は「一冊の台本から先輩方がいろんな感情の引き出しを出されているのを見て、朗読ってこんなに学ぶことが多いんだなと感じた」と告白。同じく初出演だった上村は、開演前のステージ裏でのエピソードを話し、「26歳になったんですけど、皆さんが誕生日ケーキを持って待っていてくださって、お祝いしていただきました」と嬉しさをにじませると、会場からは温かな拍手が送られた。
一方、ゲスト出演だった古川は「Kiramuneのリーディングライブに出ることは業界にとってステータス。新人でありながら呼んでいただいて、先輩方も本当にうまい先輩方で」と大御所でありながら、茶目っ気たっぷりに話して会場を沸かせると、吉野はそんな先輩方と仕事ができて光栄でしたと喜んだ。
最後に神谷は「新人と中堅とベテランとが満遍なく交流して、いろんな作品を皆さんに届けられたら。まだまだリーディングライブは進化していけると思っています」と思いの丈を明かし、会場からは拍手が送られ、出演者が手を振りながら公演を締めくくった。
文=永田正雄
放送情報
Kiramune カンパニーR
放送日時:2019年12月13日(金)22:00~ (#44)
※レギュラー90 分版
チャンネル:フジテレビNEXT ライブ・プレミアム
Kiramune カンパニーL
放送日時:2019年12月27日(金)23:30~ (#44)
※ダイジェスト+未公開映像30 分版
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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