――作品への思い入れが強い方も多いと思いますが、名作で新録することへのプレッシャーは?
「むしろ、私はプレッシャーで燃えるタイプなんです(笑)。"よし、良いものをつくろう!"って逆に燃えますね。なので、今回も"良いものを作ろう!良いお芝居をするぞ"という気持ちで挑みました」
――声を演じた"ジュールズ"の印象は?
「本当に等身大の女の子だなという印象で、全員が全員ではないと思いますが、あんなふうに虚勢を張ったり、自分の本当の気持ちを隠して"強い自分"を演じたいという気持ちは誰もが持っているものだと思いますし、私にも経験があるので、とても演じやすかったです」
――吹き替え演出を担当された音響監督の依田孝利さんからはどんなアドバイスがありましたか?
「依田さんは『彼女はいつも虚勢を張っている子だから、"いい女を演じている子"を演じてほしい』とおっしゃっていて、それが結構難しかったです。わざと芝居がかった話し方をしたり、7人の中での彼女の存在が、いい意味で"浮いている"感じになることを意識してみました」
――収録現場の雰囲気は?
「1人での収録だったので"淡々と"という感じでしたけど、監督が直接見てくれているので安心感がありました。そこまで焦りとかは感じずに、監督と1対1でディスカッションを重ねて録ることができたかなって思います」
――ファイルーズさんはアニメ作品も多く声を担当されていますが、洋画の吹き替えとアニメではどんなところに違いを感じますか?
「技術的なことが一番大きいですね。アニメーションだと、絵がまだできていない段階でアフレコをすることも多くて、ある程度のアドリブだったり、尺にそこまでピッタリと合わせる必要がなかったり、自由度が結構高いんです。でも洋画の吹き替えとなると、本国の役者さんがその役を作ってらっしゃるので、その方のイメージと、自分のイメージをすり合わせることが大事かなと思います。翻訳の方がピッタリと口に合うように訳してくださっているので、その思いもちゃんと乗せつつ、技術的にもうまく表現できるようにするというのが大変なところですね」
――公開当時に見ていた方だけでなく、ファイルーズさんと同じ世代の方にも観てもらいたい作品だと思いますが、最後に読者の方にメッセージをお願いします
「はい。今の時代、SNSが発達していて、大事な友達との会話の時間が減ってきているのかなって思いますし、友達と疎遠にもなりやすい環境なのかなとも思うんです。そんな時代だからこそ、直接会って話すコミュニケーションの大切さを私はこの作品から学びました。皆さんも、そんな"友達の大切さ"をこの作品を観て感じていただけたら嬉しいです」
取材・文=田中隆信 撮影=中川容邦
放送情報
(吹)セント・エルモス・ファイアー 【ザ・シネマ新録版】
放送日時:2022年11月23日(水)21:00~ほか
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくはこちら