佐野勇斗が自然体の演技で挑んだドラマ「就活タイムカプセル」

とある日、10年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こそうと幼なじみの磯貝真美子(高月彩良)と袴田英一(伊島空)が訪ねてくる。拓真はあまり乗り気ではなかったものの、理沙の後押しもあってタイムカプセルを埋めた場所へ。掘り起こしたタイムカプセルには「世界一の料理人になってミシュランを取る」という10年前の自分が抱いていた夢を記したメモとレシピノートが入っていた。仲間たちが幼き日の夢やメッセージに盛り上がる中、拓真は１人浮かない顔で急いで帰宅してしまう。思い出したのは、小さなビストロを開業するも経営はうまくいかず、ケンカばかりしていた両親のことだった。母からは「あんたは料理人になんかなっちゃダメ」と言われ、父からも「俺みたいになるな、勉強していい会社に入れ」と諭された。そしてあこがれた料理人の夢を捨て、大手企業への就職することが人生の目標になっていったのだ。純粋だった幼き日の夢を突きつけられた拓真はレシピノートをタイムカプセルに戻し、「内定がほしい」と書きなぐったメモを入れ、押し入れにしまい込んだ。すると不思議なことに10年後の未来の拓真からメッセージが届き、衝撃的な未来を知ってしまう。やがて快進撃をスタートさせる拓真。運命を変えるため、悪事に手を染めることもいとわずに...。

主人公を演じた佐野は、映画「ちはやふる -結び-」(2019年)で演技が高く評価されたのを皮切りに、最近では「トリリオンゲーム」で幅広い人気を集め、2024年後期の「連続テレビ小説『おむすび』」の出演も決まっている注目株だ。今作では現在の拓真と10年後の未来にいる拓真という、1人2役ともいえる難役も見事に演じ切っている。佐野のどの役にもハマる自然体の芝居と、奇想天外でスリリングな展開の融合を、ぜひ堪能いただきたい。

文＝石塚ともか

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