横浜流星清原果耶ら若き実力派の化学反応!キャラクターの心の機微が映し出される青春映画「線は、僕を描く」

「線は、僕を描く」 (C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
「線は、僕を描く」 (C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

2022年は「嘘喰い」や「アキラとあきら」、昨年は異色の人間ドラマ「ヴィレッジ」、若きボクサーを演じた「春に散る」など、主演映画が相次いで公開した横浜流星。2025年の大河ドラマ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、主人公の蔦屋重三郎に抜擢されており、"江戸のメディア王"として時代の寵児になった快男児をどう演じるのか期待が高まっている。

近年目覚ましい勢いで活躍する横浜は美しいビジュアルと人気を誇りながら、イメージを覆すヒール役も厭わずストイックに役に挑む。若手イケメン俳優という枠を超えて進化を続け、実力派へと着実にキャリアを積んできたが、そんな横浜が真摯な役作りを行なって挑んだ近作が「線は、僕を描く」(2022年)だ。

水墨画を題材にした青春映画「線は、僕を描く」
水墨画を題材にした青春映画「線は、僕を描く」

(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

6月29日(土)にWOWOWシネマで放送される本作は、深い悲しみの中で水墨画に出会う青年を主人公にした青春映画。"競技かるた"の世界を描いた映画「ちはやふる」3部作を手掛けた小泉徳宏が監督を務め、同シリーズの制作陣が再結集した。「タイヨウのうた」(2006年)や「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(2013年)など瑞々しい演出を得意とする小泉監督が、若者たちの心の機微や水墨画の奥深さ、荘厳さを繊細に美しく映し出す。

アルバイト先の絵画展設営現場で水墨画と出会った大学生の青山霜介。白と黒だけで表現された水墨画が目の前に色鮮やかに拡がり、心を動かされる。休憩中に水墨画界の巨匠・篠田湖山に「弟子にならないか」と声をかけられ、霜介は水墨画を学び始める。筆先から生み出す線のみで描かれる芸術の世界に戸惑いながらも、魅了された霜介。これまでの自分と向き合いながら水墨画を描き続け、深い悲しみの中で止まっていた時間が動き出す...。

横浜は主人公の霜介を演じ、静かで暗い色に沈む瞳に深い悲しみを湛えている。何者でもないままに日々をただ過ごしているが、アルバイト先で水墨画と出会い、想像もしていなかった世界に誘われていく霜介。戸惑いながらも素直な感性で向き合ううちに、子どものような無邪気さで楽しそうに筆を走らせ、無気力だった瞳に光が灯る。水墨画の世界の奥深さに触れ、夢中になっていく姿を横浜は瑞々しく演じている。

その一方で、大きな喪失を抱える霜介の閉ざした心も繊細に表現する。悲しみを抱き、後悔や自責の念に苛まれ、それでも何かを掴み取ろうと懸命にもがくが、運命の出会いが生きる力を与え、憂いを纏う線に覚悟が生まれる。線の一つひとつに霜介の思いが乗せられ、彼自身の命が描き出されていくようだ。ひたむきに水墨画と、そして己の心と向き合う美しい横顔に魅了された。

「線は、僕を描く」
「線は、僕を描く」

(C)砥上裕將/講談社 (C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会

運命の出会いを生み出した水墨画の作者・千瑛を清原果耶が演じている。小泉監督作「ちはやふる-結び-」(2018年)にも出演している清原は、2021年には連続テレビ小説「おかえりモネ」で主演を務め、昨年は初舞台「ジャンヌ・ダルク」でヒロインを演じ切ったことも話題を呼んだ。今年5月には「青春18×2 君へと続く道」、「碁盤斬り」と出演作が立て続けに公開している。

今作で演じた千瑛は、巨匠・篠田湖山の孫娘でもあり、霜介より年下だが絵師としては大先輩でもある。芯の通った凛とした佇まいで大人びて見える清原が、クールに見えて情熱を秘めた役どころを好演している。偉大な祖父を持ちながら才能に甘んじず直向きに努力を重ねてきた千瑛。それでも思うように描けずに苦しみ、何を書けばいいか分からず迷い、水墨画を描く楽しみを見失っている。

清原はそんな千瑛の焦りや苛立ちで渦巻く複雑な胸の内も、恋人でも友達でもない霜介との絶妙な距離感も、表現してみせた。辛い過去を背負い喪失を抱える霜介と、水墨画を描く楽しみを見失い、心を閉ざしている千瑛。数年振りの共演となった横浜と清原が、役柄さながらに互いに刺激を受けながらそれぞれにキャラクターを体現している。

千瑛の秘めた情熱が喪失を抱えた心を、霜介の嘘のない真っ直ぐな言葉が閉ざしていた心を動かす。実力派として経験を重ねる2人が、霜介と千瑛として作品の中で切磋琢磨し合い、成長していく。

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放送情報【スカパー!】

線は、僕を描く
放送日時:2024年6月29日(土)15:30~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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