西城秀樹が映画初主演作「愛と誠」で見せた大いなるスター性

(C)1974 松竹株式会社

半世紀以上前の作品であるため、ストーリーや演出などからは時代を感じるが、出演者たちの輝きにおいては時代を超えるものがある。特に西城は当時、「時代の寵児」ともいうべき人気を誇っていたこともあり、劇中でも圧倒的なオーラと存在感、内からほとばしる生命力を発揮している。

誠は不良少年で、転校初日に教師を殴り倒したり、愛からお金を受け取っても後ろめたさなどは感じず、ボクシングの試合でも反則をして勝利したりと、"硬派な不良"ではなく、"粗野で性格の悪い不良"という、決して応援したくなるようなキャラクターではない。だが、西城が演じることでどこか可愛げが生まれ、「根はいい奴なのでは」と思わせるような憎み切れない効果を生んでいる。それはやはり、西城の持つ"スター特有の愛される才能"によるものだろう。

違う言葉で表現するなら"人たらしの才能"で、これは、大スターは皆持っている、天から授かっているものなのだ。この要素のおかげで誠の人物像はかなり共感を得られる人物となっており、道を外れた言動もそこまで嫌悪感を持たせないものになっている。

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また、演技の端々にも西城のスター性が垣間見える。ケンカのシーンが特に分かりやすいのだが、動き終わりで一瞬止まって見せているのだ。これによって動きが激しいシーンも観やすくなり、観る者に動きの激しさを強く印象付けている。デビュー2年目で映画初主演作品ということを鑑みると、演技経験が多くはないはずの中、この印象的な動きの見せ方を出来るのは、西城の持って生まれた才能なのだろう。

社会現象を巻き起こした名作のストーリーを楽しみつつ、オーラや存在感から他人の印象に残りやすい動きに至るまで、西城の生まれ持った大いなるスター性を存分に味わってみてはいかがだろうか。

文=原田健

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放送情報

愛と誠
放送日時:2023年5月6日(土)18:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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