トップスター・月城かなとの研ぎ澄まされた演技に惹かれる月組公演「Rain on Neptune」('22年月組・舞浜アンフィシアター)

月城かなと
月城かなと

東京ディズニーリゾート内にある舞浜アンフィシアターにて、2022年5月に上演された月組公演「Rain on Neptune」。「ドラマティック・ショースペース」と銘打たれたこの作品は、「芝居の月組」らしくドラマ仕立ての前半と、「ショースペース」の二部構成となっている。

海乃美月
海乃美月

©宝塚歌劇団  ©宝塚クリエイティブアーツ

前半は、太陽系のはるか彼方、海王星ネプチューンにて繰り広げられる物語である。伝説のトレジャーハンター、シャトー(月城かなと)は仲間たちと共に海王星に降り立った。そこは数多の宝石と音楽に溢れる、美しき夢の世界だった。
 
海王星の王トリトン(鳳月杏)はシャトーらを歓迎するが、二つだけ条件を提示する。1つは、ダイヤモンドにだけは手を出さないこと。そしてもう1つは、氷の女王・ネプチューン(海乃美月)に恋心を抱かないこと。だが、ネプチューンの姿を見てしまったシャトーは心奪われてしまう。そして、その恋が海王星に変化をもたらしていく...。

作・演出の谷貴矢は、主演の月城かなとについて「意味を取り込んで無限の輝きを放つ稀有なトップスター」であると評する。そして「意味を与えれば与えるほど表現が研ぎ澄まされていく感覚がある」からこそ、芝居仕立てにしたのだと語っている。これまでタカラヅカでは明日海りお主演による花組、礼真琴主演による星組が舞浜アンフィシアターでの公演を行い、それぞれの個性を活かした作品が上演されてきた。そして3度目となる月組公演も、これまでとはまた一味違う、月城率いる月組ならではのものとなった。

鳳月杏
鳳月杏

©宝塚歌劇団  ©宝塚クリエイティブアーツ

海乃美月演じるネプチューンは氷の彫刻のような美しさ、鳳月杏演じるトリトンは威容の中にも謎めいた雰囲気を漂わせる。元宇宙警察のピック(夢奈瑠音)、天才ハッカーのトレフル(英かおと)、アンドロイドのクール(彩みちる)が、それぞれの力を合わせて危機を乗り切っていく。そして、出演者たちが色とりどりの宝石に扮して歌い踊るのが、華やかで美しい。

後半は一転して、舞浜らしく「Under the Sea」などのディズニーソング、「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」など宇宙にちなんだ楽曲、「ミー&マイガール」(「ME AND MY GIRL」より)や「世界の王」(「ロミオとジュリエット」より)などミュージカルナンバー、そして「月組といえば」のショーでお馴染みの主題歌が続く。半円形のステージを客席がぐるりと取り囲む形になっているアンフィシアターの機構を存分に活かした演出・振り付けも見どころだ。

公演グッズとして、会場でつけると場面によって自動的に色が変わるブレスライトが販売された。ブレスライトが点滅すると、まるで色とりどりの星が輝いているような幻想的な光景が作り出される。観客も一緒になって作品世界の一部を作り出していくような感覚は、いつもの公演にはない新鮮さだった。まるで宇宙空間を漂っているような夢心地を、スカイステージの画面でも味わいたい。

文=中本千晶

この記事の全ての画像を見る

放送情報

Rain on Neptune('22年月組・舞浜アンフィシアター)
放送日時:6月3日(土)23:00~ほか
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物