田中みな実、松村沙友理らが真の幸せを追求する姿に心打たれる！映画「ずっと独身でいるつもり？」

序盤のまみは、あまり自己主張が強くなく、「周りに流される」といった雰囲気が強く出ている。コメンテーターとして出演した配信番組では、ガツンと意見することもなく、その場に合わせたコメントでお茶を濁してしまう。

大学の先輩の五所川原玲(山口紗弥加)と飲んでいても、笑顔には愛想笑いが多分に含まれているように見える。彼氏の橋田公平(稲葉友)の部屋で結婚を切り出された時も、本当にそれでいいのか、といった複雑な表情を見せる。そういった姿からは、今のまみは自分にフィットしていない人生を歩んでいるように感じられる。

幸せをもたらすはずの結婚も、話が思いもよらぬ方向へとズレてゆく。「いずれはやめるよね？」結婚を機に、ライターの仕事を辞めるよう橋田が迫るのだ。

言葉はなくとも、田中が演じるまみの表情からは、その思いがありありと伝わってくる。「なんでこんなことになってるの...？」と。

物語の終盤、幸せを追求していた4人の女性はそれぞれの思いを爆発させる。自転車で疾走しながら絶叫する由紀乃、決意を秘めた瞳で遠くを見つめる彩佳、地べたに座り込み泣きじゃくる美穂。その姿に胸を打たれると同時に、彼女たちの幸せを願ってしまうのは、やはりキャスト陣の演技が秀逸だからだろう。特に元乃木坂46の松村の演技は、パパ活女子という役柄とも相まって、強烈な印象を与えてくれる。

田中が演じるまみも、配信番組で己が思いを吐露した後、由紀乃と向かい合って会話するシーンで強い芯を感じる笑顔を見せてくれる。周囲に流されていたまみが"真の幸せ"を追求することに目覚めた姿がそこにあり、その変化を如実に知らしめる田中の演技もまた、絶品と言えるだろう。

彼女たちがどんな経験を経て、どんな決意を持つに至ったのか。「結婚は幸せ」「孤独は寂しい」。そんな観念が未だはびこる現代において、それを打破することで幸せを手に入れようとする彼女たちの姿に、きっと勇気をもらえるに違いない。

文＝堀慎二郎

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