二宮和也の自然体な演技が印象的!日本の俳優陣が戦場のリアリティを体現した「硫黄島からの手紙」

「硫黄島からの手紙」
「硫黄島からの手紙」

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. (C)DreamWorks Films L.L.C.

昨年末に公開された主演作「ラーゲリより愛を込めて」(2022年)の大ヒットも記録に新しい二宮和也。運命に翻弄されながら再会を願い続けた夫婦の11年に及ぶ愛を描いた感動作で、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された日本人の中で生きることへの希望を捨てなかった男・山本幡男を二宮が熱演した。

同作などの演技が高く評価され、第65回ブルーリボン賞主演男優賞の初受賞を果たしたが、二宮が出演した戦争映画として思い出される作品と言えば「硫黄島からの手紙」(2006年)が挙げられるだろう。クリント・イーストウッドが監督を務め、スティーヴン・スピルバーグが製作を担当した本作。「父親たちの星条旗」(2006年)に続く硫黄島での戦いを日米双方の視点から描いた2部作の第2弾で、日本側の視点から深く掘り下げて描かれた。

 日本の俳優陣が圧倒的な熱量で演じ切った「硫黄島からの手紙」
日本の俳優陣が圧倒的な熱量で演じ切った「硫黄島からの手紙」

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. (C)DreamWorks Films L.L.C.

1944年6月、日本軍の戦況は悪化の一途をたどっていた。最重要拠点である硫黄島に新たな指揮官・栗林忠道中将がやってくる。過酷な灼熱の島で掘り進められる地下要塞が、圧倒的なアメリカの兵力を迎え撃つ栗林の秘策だった。最後まで生き延びて、本土にいる家族のために1日でも長く島を守り抜く。「死ぬな」と命じる栗林の指揮のもと、5日で終わると思われた硫黄島の戦いは36日間にも及ぶ歴史的な激戦となる...。

二宮が演じたのは、本土防衛の最後の砦でもある硫黄島に配属された日本兵の一人、西郷。やる気も根性もなく、文句を言いながら塹壕を掘る姿は諦めに似た哀愁を感じさせ、今時の若者のように軽口を叩き、不貞腐れ、要領の悪さから頻繁に叱られている。

兵士らしからぬ態度で戸惑い怯え、友の死に怒りや疑問を抱く西郷。次々と簡単に死んでいく仲間、命乞いをする敵兵や投降しようとする部下を躊躇なく殺す姿...。この世の地獄を目の当たりにしてなお人の心を失わず、正しく傷つき涙する。この時代に生きた一人の人間の心情を、二宮は自然体で演じた。

映画の語り部も担う西郷は、この物語と現代の人々を繋ぐ役割も担っている。彼の目を通して、戦争の悲惨さや虚しさが映し出されていた。すでに演技力への評価も高かった二宮だが、その才能は本作でのハリウッドデビューを経て世界的にも知られることとなった。

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放送情報

硫黄島からの手紙
放送日時:2023年8月12日(土)17:30~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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