田中圭が見せる愛情深い演技が胸に響く...愛犬との絆を描く映画「ハウ」

映画「ハウ」に出演する田中圭
映画「ハウ」に出演する田中圭

(C)2022「ハウ」製作委員会

本作で田中が演じる民夫は、恋人に突然別れを告げられても、戸惑いと絶望の表情を浮かべながらも言いたいことをグッと堪え、現状を受け止めようとするタイプ。彼女とヨリを戻そうと必死になる様子もなく、フラれた直後に予約していた結婚式場のキャンセルの電話を入れ、翌日には職場の上司に結婚がなくなったことをすぐに報告するなど、ややドライな面も見え隠れする。
そんな民夫を、田中は淡々とした表情とあまり感情のこもらない声で演じている。そのローテンションな演技にリアリティがこもるがゆえに、民夫がハウと出会い、前の飼い主に声帯を切除されたと知った際に、ハウに「ひどいな」と語りかける声の温かさが観る者の心に響くのだ。婚約者と飼い主という違いはあれども、「置き去りにされて心に傷を負った者」という共通点を持つ民夫とハウ。共に暮らすようになったことで民夫には笑顔が戻り、声にも力強さが宿るように。職場から急いで帰宅し、家で留守番をしてくれているハウを抱きしめる民夫の幸せいっぱいの胸の内を、田中は溢れんばかりの愛情がこもった笑顔で表現している。

しかし、民夫とハウの幸せな日々は、ハウが行方不明になったことで突然ピリオドが打たれる。必死の捜索もむなしく、民夫のもとには「ハウらしき大型犬の亡きがらが清掃工場に持ち込まれ、焼却された」という一報が舞い込んでくる。大切な家族を本当に失ったという事実に打ちのめされ、ハウがいつも出迎えてくれた玄関先で号泣する民夫。婚約者に別れを告げられても涙ひとつこぼすことになかった彼が、どれだけハウを愛していたかを表現するために、田中は子供のように声を上げ、膝を抱えながら泣きじゃくるという熱演を披露。その背中から放たれる悲しみは観る者すべての胸を締めつけるだろう。

一方、天国ではなく、意図せずして乗り込んだトラックで見知らぬ土地・青森に辿り着いたハウ。大好きな民夫のもとに帰るため、ハウが繰り広げる大冒険もこの映画の軸となっている。全編のナレーションを務めるのは、愛犬家・愛猫家としても知られる女優・石田ゆり子。石田の温かなナレーションが、民夫とハウの物語を優しく支え続けている。

運命的に出会い、家族となった青年と大型犬が紡ぐ、どこまでも優しいハートウォーミングストーリー。田中の地に足の着いた演技と、ハウを演じた役者犬・ベックの喜びに溢れたしっぽの動きに注目しながら、愛と感動のドラマを味わってほしい。

文=中村実香

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放送情報

ハウ
放送日時:2023年9月7日(木)11:00~
チャンネル:WOWOW4K
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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