市原隼人が主演の異色グルメドラマ「劇場版 おいしい給食 卒業」で見せた多幸感溢れる表情

スーツ姿で中学校の教師を演じる市原隼人
スーツ姿で中学校の教師を演じる市原隼人

(C) 2022「おいしい給食」製作委員会

1986年秋、黍名子中学に勤務する甘利田は受験生の担任になり、神野が転校してきたことでライバルと再会することになる。甘利田は普段は厳しく、規則を破ると理詰めで生徒を追いこんでいく面倒くさいタイプの先生だが、職員室では献立表を真剣な顔で眺め、給食の時間になるとモチベーションが一変。食べる前にはみんなで校歌を歌って一体感を高め、クラスの誰よりも笑顔で全力の振り付けで歌い、今日の献立に真摯に向かい合う。1つ1つのメニューを吟味し、心の中ではウンチクと食レポが止まらない。その陶酔の表情たるや、幸せオーラ全開だ。

(C) 2022「おいしい給食」製作委員会

給食中、甘利田はコッペパンに頬擦りするほど"甘利田ワールド"に入り込んでいるのだが、ふと冷静になると宿敵の神野が、給食に一手間かけたオリジナルメニューを楽しんでいるのが目に入る。甘利田が授業中に言った「受験に成功したければメシに集中しろ。よく噛めばブドウ糖が出て脳を活性化する」という言葉を実践する姿を見て悔しがる甘利田に向けられるのは、ライバル・神野の余裕の笑み。忙しいほど表情が変わる市原の振り切った演技に笑わずにはいられない。

■「食を分け合うというのは、もはや配偶者」という名セリフがじわり

学年主任の宗方早苗(土村芳)との駄菓子屋での会話がきっかけで生まれるハプニングも描かれる中、甘利田は給食センター便りに書かれてあった新給食試食会に変装して参加し、自分や子供たちにとってかけがえのない給食に危機が訪れかけていることを知る。それはヘルシーという名のもとに作られた味も素っ気もないメニューが試食会に並んでいたことだ。かくして給食は変革期を迎えることになる。

本作でじわりとくるのが、甘利田が進路相談の時に宗方に発する「食を分け合うというのは、もはや配偶者ですから」という言葉だ。当然、宗方は独自の甘利田哲学に「は?」という顔を見せるのだが、本人は無自覚でありながら、性別を問わず、このセリフに「なるほど〜」と思わせられる場面が登場するのがハートウォーミングである。

長きにわたる神野との関係に卒業によりピリオドを打たれるまでが描かれた物語の中、バトルを繰り広げてきた2人は食欲とテンションを落とす給食の危機にどう立ち向かうのか?ドラマ最新シーズンが始まる前に見れば、より楽しめるはずだ。今作でも見事なまでに発揮されている市原の振り切った演技に注目しながら見てほしい一作だ。

文=山本弘子

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放送情報

劇場版 おいしい給食 卒業
放送日時:2023年10月1日(日)1:55~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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