「はぐれ刑事純情派 新春スペシャル(1999)」でシリーズ人気の秘けつを発見!藤田まことの芝居が作品にもたらしたもの

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例えば、1999年の元日に放送された「はぐれ刑事純情派 新春スペシャル」では、容疑者の女性が働くクラブのキャストたちは年齢も高く、店も閑古鳥が鳴いており、閉店の危機に陥っている。店長役の堀内孝雄は閉店を伝えるも、キャストたちから「この店がなくなったら行くところがない」と訴えられて困っている。捜査で来店した安浦刑事は客として強引に席に着かせようとするキャストたちに、ちょっと迷惑そうな顔を見せてあしらうのだが、その時の藤田の芝居にくすりとさせられる。迷惑そうでありつつ、早めに切り上げようとする芝居は、普段の人情厚いキャラクターとのギャップもあり、殺人事件の捜査なのだがつい笑わせられてしまうのだ。

その後、裏でキャストたちの再就職先を探したり、受け入れ先が見つからないとなれば刑事課の面々の協力を得て、店が繁盛するように手伝うという優しさも胸を打つ。藤田は、安浦刑事の不器用だが出会った事件に関係のない人々の面倒もつい見てしまうという人柄をコミカルさと共に表現しており、意識的に"お堅いだけではない作風"を形成しているのだ。そういった藤田のコメディアン気質が醸成する雰囲気こそが人気シリーズとして長く続いた秘けつといえるだろう。

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犯人には厳しく、被害者に寄り添い、一般の人々にも優しいところに加え、藤田が紛れ込ませている、作品に緩急をもたらしているゆとりの部分の芝居こそが、作品に抑揚を与えて一流のエンターテインメント作品に仕上げているのだ。同スペシャルのエンディングでは、事件解決後の安浦刑事のはっちゃけた姿も描かれており、コメディアン時代を彷彿とさせる姿を披露し、そういった意味でもスペシャルな回となっている。

2時間スペシャルだからこそ描かれた藤田の芝居から人気シリーズの秘けつを感じてみてほしい。

文=原田健

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放送情報(スカパー!)

はぐれ刑事純情派 新春スペシャル(1999)
放送日時:2024年1月1日(月)12:30~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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