天海祐希が映画「千年の恋 ひかる源氏物語」で、吉永小百合らレジェンド級の俳優陣の中で異彩を放っている理由とは?

(C)2001「千年の恋 ひかる源氏物語」製作委員会

女性に囲まれる役柄上、しっかりと男らしさが画面ににじみ出ていないと男女間の恋模様を描くには説得力が欠けてしまうのだが、佇まいや所作など"昔取った杵柄"は健在で、男性よりも男性らしい。一方で、眉目秀麗で恋多き役柄でもあるため、硬派なタイプではなく、どちらかといえば女性らしさに類する、柔和でしなやか、凛とした雰囲気を纏ってスクリーンの中に生きている。"男性よりも男性らしく"それでいて"柔和でしなやか"。言葉にするのは簡単だが、芝居を通して体現するというのは、表現の方向性が違うため言うほど易くはない。逆に言えば、この難しい表現を両立させられる天海だからこそ、他の男性俳優ではなくキャスティングされたのだろう。

この方向性の違う表現を両立させている要素を紐解いてみると、動きやセリフ回し、目線の配し方など高度なテクニックのオンパレードなのだが、中でも特徴的なのは声のトーンだ。女性が男性役を演じる場合、声のトーンは必要以上に低く演じることが多い。観客に男性であることをしっかりと伝えるためにあえてそうするきらいがあるのだが、今作での天海はあえて低くはしていない。過度に低くしてしまうと光源氏の軽やかさが損なわれてしまうからだ。だが、この表現は宝塚時代数々の男性役を演じてきた天海にとっても挑戦だったのではないだろうか。もちろん、舞台と映像という違いはあるだろうが、このチャレンジングな表現を見事に物にし、性差を超えた難易度の高い演技で魅せているからこそ、吉永らそうそうたるメンバーの演技の中においても"異彩を放つ"ことができているのだ。

吉永らレジェンド級の俳優陣の説得力のある演技で平安時代にタイムスリップしながら、歴史絵巻の中に飛び込んだような感覚に陥る劇中劇での天海の"異彩を放つ"演技にも注目してほしい。

文=原田健

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放送情報【スカパー!】

千年の恋 ひかる源氏物語
放送日時:1月8日(月) 21:00~
放送チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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