固定化された概念に疑問を投げかける映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」で、細田佳央太駒井蓮が表現したものとは

大前粟生の小説を、立命館大学映像学部出身の新星・金子由里奈監督が映画化した「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」(2023年)。繊細な演技に定評のある細田佳央太や儚さと真の強さの両方を漂わせる駒井蓮らフレッシュな顔ぶれが集った今作は、心の奥底にある本音をぬいぐるみだけに話す"ぬいぐるみサークル"の学生たちの物語。細田演じる、従来の恋愛観や男らしさ、女らしさに違和感を持つ七森らの大学生活を通して、現代社会のなかにある抑圧的な慣習を浮き彫りにしていく。

ぬいぐるみに話しかける麦戸(駒井連)、七森(細田佳央太)
ぬいぐるみに話しかける麦戸(駒井連)、七森(細田佳央太)

(C)映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

例えば、大学生活では恋愛を楽しむべき、彼氏彼女はいる方が良い、誰もが彼氏彼女を欲しているという感覚は、実は一部のものであって、全体のものではない。しかし、現代社会ではこれらの感覚が"普通"という言葉で括られ、声の大きな人間がスローガンのように掲げている。その結果、一部の人間にとっての"普通"が、世間的な共通意識として正当化されていく。だが、常に違和感を抱いている者は存在している。この状況に正面から立ち向かい、映像化しているのが、この「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」だ。細田演じる主人公の七森は、大学の人と同じように"恋愛"をしてみるも、みんなのように楽しむことができずに思い悩む。しかし、決して自分以外の誰かに気持ちをぶつけることはしない、心やさしい人間だ。

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放送情報【スカパー!】

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
放送日時:4月9日(火)10:00~
放送チャンネル:WOWOW ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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