枯れきった日々を送っていた有馬だが、やがて本格的に調査に取り組むようになると、打って変わって有能な刑事の片鱗を見せる。そんなシーンを演じる舘からは、ダンディーな味や彼特有の色気がにじみ出てしまっている点も心憎い。一方で調査を進める中では、泥臭く走り、わめき、しがみつくなど、観ているこちらの胸がひりつくような執念深さを見せている点が印象的だ。
全5話という短い物語の中で、舘が演じる有馬は実に様々な一面を見せる。くたびれた男ながらもやる時はやる、という二面性が魅力的に思える有馬だが、ことはそう単純ではない。それは本作のメインテーマである冤罪と、舘演じる有馬の抱える贖罪にある。有能な刑事としての顔、取り返しのつかない罪を抱えた男の顔、家族と向き合わなかった父の顔......。全5話という短い物語の中で、舘が演じる有馬は実に様々な一面を見せる。
そして後半では、有馬が死刑囚の古内と自分自身を重ね合わせ対比させるような場面も登場し、有馬という人間は紋切り型の言葉では捉えきれない、奥深い多面性を帯びていく。本作で舘が体現した複雑な人物像は、人を裁くことの重さや本当の正義といった深遠な問いを投げかけている事で、よりいっそうの味わいとリアリティをもたらしたと言えるだろう。
文=元永真
放送情報【スカパー!】
連続ドラマW 60 誤判対策室 #1~5(全5話)
放送日時:7月5日(金)21:00~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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