――カナは暴力的なのにどこか惹かれてしまう不思議な魅力を持った女性です。カナの印象と演じる上で意識したことを教えてください。
河合「最初は実在する人としてというよりは、映画に出てくる主人公とかキャラクターとして面白い人だなと読んでいて思っていたので、自分が今、本から受けてる印象を一番いい形で演じるにはどうしたらいいかなというところから考え始めました。多くの人からは日本映画で見たことないタイプの主人公と言っていただけることが多いですけど、私も読んだ時にそう思ってたので、それがちゃんと伝わってよかったなとホッとしています。もちろん演じる時にもそれは意識はしてたんですけど、奇をてらってというか、別に変なことをやるだけでも面白い人にはならないと思っていたので、最終的にはまっすぐに演じることを心がけました。私たちと同じ東京に実際にいるような人にしたいというリアリティとキャラクターとしての面白さを両立させられたんじゃないかなと思います」
――カナの生き様を通して社会は自分中心ではなく上手くいかない事もある中で、どう他人と距離をとって折り合いをつけて過ごしていくのかというメッセージ性を感じました。お2人は他人と関わる上で意識していることはありますか?
河合「難しいですね...。でも、絶対に人生は1人では生きていけないし、人のことをうまく愛せないって思っていても、絶対に必要としてると思うので、漠然としていますけど、いろんな人に対して誠実に接したいと思ってますね。生きている中でそうじゃなくなりかける時って誰しもあると思うんですけど、そういう時にこそ誠実に向き合うことを心がけています」
山中「最近やっと自分も柔らかくなってきたなと感じていて。以前はちょっと尖っていたので、あんまり喋りたくない人とは喋らないし、話したくないことは話さないし、と思えば全然思ってもないことを言ってみたりとかしていたのが、こちらが素直に話せば向こうも素直に話してくれるんだなというのを実感することが増えて。あと、この人はきっとこう思っているからこう言おうとか、相手の気持ちを先回りして考えて疲れることが今まではあったんですけど、他人の真意はもうわからないことだからあんまりそういうことばかり考えても仕方ないなと気づくようになってからは随分とラクですね」
――それはターニングポイントがあったんですか?
山中「うーん、きっとその時は単に人疲れをしてたんですよ。コロナで会う人も制限される期間が長くあって、自分と向き合う時間ができたのは良かった。その間に自分の凝り固まった考えが手放せたのもあったし、その後久しぶりにいろんな人と会ったらそれはそれで嬉しくて、それまでの嫌なこと全部忘れちゃった!みたいなことはあるかもしれない(笑)」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
▼河合優実様スタッフクレジット
HM:上川 タカエ(mod'shair)/Takae Kamikawa(mod'shair)
STY:杉本学子/Noriko Sugimoto
映画情報
映画『ナミビアの砂漠』
2024年9月6日(金) 全国ロードショー
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