9月13日(金)に公開を控える三谷幸喜脚本・監督最新作「スオミの話をしよう」。三谷にとって、2019年の「記憶にございません!」以来5年ぶり、9本目の長編映画監督作品になるが、主演の長澤まさみをはじめ、西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎ら実力派俳優たちが出演し、極上のエンターテインメント作品に仕上がっている。三谷作品と言えば、小さな出来事を積み重ね観客を引き込む面白さに定評があるが、改めて9月8日(日)に日本映画専門チャンネルで放送される「記憶にございません!」で三谷作品の復習をしてみたいと思う。
■絶大なる信頼感の中井貴一
本作の主人公は、傲慢で不遜な態度を繰り返し国民からそっぽを向かれ内閣支持率2.3%を記録した総理大臣・黒田啓介。演説中に一般人から石を投げられ頭に直撃。記憶喪失になってしまったというところから物語はスタートする。
黒田を演じるのは中井貴一。三谷監督映画は「みんなのいえ」「ザ・マジックアワー」「ステキな金縛り」などに出演する常連であり、本作でも記憶喪失になってしまったことを周囲に悟られないように立ち振る舞うことで生まれる、微妙な間を笑いとして見せる難易度の高い芝居を見事に演じている。
中井の芝居はもちろんなのだが、それを受ける俳優たちも実力派ぞろいだ。まずはディーン・フジオカ演じる首相秘書官・井坂と、小池栄子が演じる事務秘書官・番場のぞみのコンビネーション。この二人は、総理が記憶喪失であることを知っている数少ない側近。立場的には機密を絶対外に漏らさないために奔走するが、同じ目的でありながらも、切れ者でやや冷淡な井坂、ハートフルな番場という対比で笑いに持っていく脚本と演出の妙に唸らされる。特に、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも愛嬌溢れる北条政子を演じた小池の安定感には舌を巻く。
ほかにも総理の妻・聡子役の石田ゆり子、首相官邸料理人・寿賀さん役の斉藤由貴、総理を最初に保護した警察官・大関平太郎役の田中圭ら、普段あまりコメディ作品で見かけない俳優たちも、中井との"記憶喪失であることを知らない"というシチュエーションでの食い違いで、見事に"とぼけた笑い"を届けてくれる。
さらに野党第二党・困民党の党首・山西あかねを演じた吉田羊、内閣官房長官・鶴丸大悟役の草刈正雄、胡散臭さ満点のフリーライター・古郡祐を演じた佐藤浩市、アメリカ初の女性大統領であるスーザン・セントジェームス・ナリカワ役の木村佳乃など、主演級の俳優たちも続々と登場するなど、最後まで高いテンションが続く。
■シニカルかつコミカルなストーリー
放送情報【スカパー!】
記憶にございません!
放送日時:9月8日(日)18:35~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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