成田凌中川大志ら実力派俳優陣によって、映画監督・小津安二郎の作品が現代に蘇る!オムニバスドラマ「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」

その押しの強さに気圧され、喜一を演じているのが成田ということをすっかり忘れてしまっている頃に、喜一は面接に落ちる原因でもある髭をばっさりと剃り落とす。細身のスーツに身を包み、さっぱりとした恰好で登場したその姿に、視聴者は「そういえば成田凌だった...」と再認識すること確実だろう。もちろん、その変身ぶりに、幾子をはじめ、企業も手のひら返し。見事に就職を決めた喜一だったが、広子だけは、髭を剃ったことで、喜一が喜一であることを捨ててしまったと嘆く。そこから始まる「ありのままの自分を認めてくれる存在の大切さ」を丁寧に描いていく物語は、成田と堀田の熱演も相まって、観る者の胸を熱くするはずだ。

最終話「青春の夢いまいづこ」では中川大志が主演を務める
最終話「青春の夢いまいづこ」では中川大志が主演を務める

最終話となる「青春の夢いまいづこ」は、中川大志を主演に迎えて描く、友情物語。文武両道で何でも完璧にこなすイケメン大学生・堀野哲夫(中川)は、お調子者でどこか憎めない親友・斎木太一郎(渡辺大知)とごく普通の大学生活を送っていた。しかし、ある日、実業家でもある堀野の父が逝去。堀野は、道ばたで拾ったカメ・おしげを斎木に託し、地元に帰ることに。それから6年後、偶然再会した2人だったが、堀野は父親が遺したホテルを継いで社長に、一方の斎木は学生時代のバイト先でもあるカラオケ店にそのまま就職という、大きな差が開いていた。無邪気な堀野は「斎木がいた方が楽しい」と、彼を自分の会社に誘い、2人は社長と社員という関係に。彼らの友情は不変だと本人たちは思っていたが、周囲はそれを許さなかった...。

中川が演じる堀野は、ビジュアルも性格も完璧な御曹司。本人はいたって普通の大学生と思っているものの、周囲からは「自分たちとは世界が違う」と一線を引かれてしまう存在だ。そんな堀野を中川は爽やかな微笑みと肩の力が抜けたナチュラルな演技で表現。中でも、友人たちとサッカーを楽しむシーンでは、サッカー好きという自身の特技を最大限にいかした華麗なドリブルを披露し、堀野が周囲より頭の抜けたポジションにいることを視聴者に印象づけている。

そして、堀野と斎木が再会してからの物語では、磨き上げられた高級車の後部座席から堀野が颯爽と登場するシーンでの中川のビジュアルの強さに圧倒されるだろう。仕立ての良いスーツを着こなす中川は、超一流企業の若社長オーラを放つ一方で、その表情は大事な友人に再会できた喜びに輝き、まるで少年のような笑顔をみせる。そのギャップに胸を射抜かれてしまう人も決して少なくないだろう。

この2編以外にも、田中圭が主演の下町人情物語「出来ごころ」や、柄本佑主演で贈る「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」、前田敦子を主演に迎えてのギャング映画「非常線の女」、そして石橋静河主演のシリアスな人間ドラマ「東京の女」と、それぞれ21世紀に新たなドラマとして甦った小津作品。その普遍的な魅力を、日本エンタメ界を牽引する俳優陣の演技を通して再確認してほしい。

文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~(全6話)
放送情報:2024年10月15日(火)12:00~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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