「源氏物語」の作者・紫式部の生涯を描く大河ドラマ「光る君へ」で、平安時代中期の貴族社会の権力争いにも大きな影響を与える人物として存在感を放つ陰陽師・安倍晴明に改めて注目が集まっている。
安倍晴明といえば、夏蜜柑をネズミに変えた、母親が狐...といった数々の逸話を持ち、当時では異例ともいえる85歳で天寿を全うするなど何かとミステリアスな人物だ。その神秘性ゆえ、繰り返し物語の題材として描かれてきたが、中でも思い起こされるのが、野村萬斎の映画初主演作であり、当たり役となった映画「陰陽師」(2001年)だ。
10月26日(土)にWOWOWプラスにて放送される「陰陽師」は、夢枕獏の同名小説を「おくりびと」(2008年)などでメガホンを取った滝田洋二郎監督が映画化したスペクタクル絵巻。鬼や怨霊がはびこる平安時代の朝廷を舞台に、右大臣と左大臣による後継者争いを発端とする怨霊騒ぎを、変わり者の陰陽師・安倍晴明が解決していくというもの。
右近衛府の中将・源博雅(伊藤英明)は、怨霊退治を通じて安倍晴明(野村萬斎)と知り合い友情の絆を築いていく。そんな中、帝の側室のひとりである左大臣の娘が敦平親王を出産。これに対し、自分の娘の子を跡取りにと考えていた右大臣・藤原元方(柄本明)は、陰陽頭の道尊(真田広之)と共に敦平親王を亡きものにしようと画策。博雅から依頼を受けた晴明は敦平親王を守るべく、巫女の青音(小泉今日子)と共に都の壊滅を目論む道尊の企みに立ち向かっていく。
野村は変わり者ゆえに陰陽師仲間からも煙たがられている怪しげな晴明のキャラクター像を涼しげな微笑で表現。ゆったりとした口調や狂言師ならではのメリハリのある動きで、実力者という側面も浮かび上がらせており、ただ者ならぬ佇まいはまさにハマり役だ。飄々としているが実は情に厚い一面など、変幻自在な演技は伊藤英明、真田広之、小泉今日子ら豪華キャストの中でも格別の存在感を放っている。
でくの坊か?天才か?という城代役の「のぼうの城」(2012年)や、たわけ者に見えて実は切れ者という「七つの会議」(2019年)など、後に演じるキャラクターの原点とも言える演技は、数々の野村の出演作の中でも特に印象的な一作と言えるだろう。
放送情報【スカパー!】
陰陽師
放送日時:2024年10月26日(土)19:00~ ほか
陰陽師II
放送日時:2024年10月26日(土)21:15~ ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
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