この4人の芝居はとても自然だ。本当に東北の田舎にある学校の一幕を覗き見しているかのような気分になれる。特に上野の芝居は表情の変わりようが凄く学生のあどけなさと無邪気さを残しながら喜怒哀楽を表現しており、この作品が上野の出世作となったのも大変納得の芝居だ。鈴木の親友である斉藤を演じる貫地谷も上野に負けず劣らずの芝居をみせる。斉藤というキャラクターが鈴木ほど喜怒哀楽の激しいキャラクターでもないため、上野よりも貫地谷の芝居が控えめにみえるかもしれない。しかし、鈴木の良き友としてのポジションを的確に演じているといえるだろう。キャラクターに対して違和感がない芝居は素晴らしい。
■作中のキーパーソンである2キャラクターを演じる本仮屋ユイカと平岡祐太
関口は元々鈴木と斉藤のコミュニティには属していない控えめな女子生徒だ。眼鏡をかけた本仮屋のヴィジュアルも相まって真面目な印象が強い。しかし、作中のバイトで暴走する鈴木についていく辺り何処か変わり者なのだろう。鈴木もはじめは関口を友達としては認識していなかったが、バンドを作るために奔走する過程でお互いに認め合う友達になっていった。本仮屋は落ち着いた芝居をベースにしているが、だからこそ鶴の一声とも呼べるシーンとのギャップが強まる。これは是非、実際のシーンで楽しんで欲しい。
最後に唯一の男子メンバーである中村は元々気弱な生徒だ。吹奏楽部でピアノをやりたかったがシンバルになり怒られ続けていた部員で、女子生徒たちも弱虫のような印象を持っていたが意外とそうでもなく、言うべきところは言う力強さも持っている。平岡はそんな弱さと強さのバランスを兼ね備えた丁度いい芝居をしている。唯一、スクリーンに多く登場する男子という面でも大きな存在感を放っており、この作品のキーパーソンといってよいだろう。
この作品は今観ても色褪せない面白さを持っている。是非、一度ご覧あれ。
文=田中諒
放送情報【スカパー!】
スウィングガールズ
放送日時:11月05日(火)21:00~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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