6月に衛星劇場で放送される、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース ミュージカル「HEADS UP!」に、女優・真昼野ひかる役で出演している大空ゆうひ。新人とベテラン2人の"舞台監督"を軸に、普段は表舞台に登場することのないバックステージで働く舞台スタッフの奮闘を心弾む音楽に乗せて描く。今回は2015年に上演された人気作の再演版を送る。数々の舞台を経験している元宝塚の大空に、再演時のエピソードやお気に入りのシーンについて語ってもらった。
2年ぶりの再演が決まったと知った時の感想をお聞かせください。
「早い段階から、何となく『再演があるかも?』って感じていました。すごく楽しかったと言ってくださるお客さんが多かった作品なので、もう一度ブラッシュアップしてお届けできるということがとてもうれしかったです。前回は、舞台の物語と同じようにバタバタして、バックステージはかなり大変でしたからね(笑)。実は、この2年間、キャストの皆さんとはグループラインで、それぞれの近況が分かっていたんです。とにかく、仲が良い素敵な座組。連絡が途絶えることはなかったですね。顔を合わせたら、あっという間に前回と同じ空気が戻ってきました」
初演と再演で、変わった部分はありますか?
「奇跡的に、前回とほぼ同じキャストが集まったんですけど、今回から参加された俳優さんたちもいらっしゃいます。その"化学反応"が、とてもいいエッセンスになっているなと感じました。再演ということで、もっと掘り下げていけるというメリットがありつつ、劇中では次々とトラブルが起きて、この先どうなるんだろうというドキドキ感が楽しいので、先を知ってしまっているお芝居になるとすぐに面白くない作品になってしまう。いかに、結末を毎回忘れて臨むことができるのか。慣れたくないし。でも、ブラッシュアップしたいという思いもある。そのさじ加減が難しかったです」
演出のラサール石井さんから、お芝居に関して何かリクエストされたことはありますか?
「直接的に何か言われたということはないですけど、ひかるが登場するシーンの音楽が変わったんです。それが、ラサールさんからのメッセージなのかなと。ひかるというキャラクターがものすごく出てくるような曲でしたし、音楽が変われば歌い方やその後の芝居にも変化が出てきますから」
再演時の印象的なエピソードは?
「いろいろなトラブルがありました(笑)。お客さんから見えたものでいうと、みんなで歌を歌うシーンの時に上から靴が降りて来るはずなんですけど、なかなか落ちて来ないんです。最後の最後のオチなのに、肝心の靴でトラブル。初演の時も雪が降ってこなくて、奇跡的に"一枚"だけ落ちてきたということがありましたけど、靴は降りてこなかったですね。靴が落ちたのをきっかけにワン、ツーでオケがなって歌の続きがあるという構成でしたから。結局、橋本じゅんさんが『せぇ~の!』と、音頭を取って歌い出しました(笑)」
劇中に登場するミュージカルナンバーはどれも耳に馴染みやすい名曲ばかりですね。
「『ドルガンチェの馬』を歌いながら帰ったお客さんもいらっしゃったみたいです。私の頭の中でもループしていましたよ(笑)。帰り道にハッピーな気持ちで歌える曲があるミュージカルって素敵ですよね。女性陣による『チケットは売れている』は、エネルギーが出る楽曲。男性たちに負けじと主張する感じが面白くて、みんなノリノリ。ぜひ、映像でも楽しんで見ていただきたいですね。個人的には、カーテンコールの『終わっちゃいねぇぜ』の"ソイヤっ!"に参加したかったです。男性陣がみんな楽しそうにやっていたので、横で見ていてムズムズしちゃいました(笑)」
文=小池貴之 撮影=宍戸ヤスオ(ADMission) ヘアメイク=大宝みゆき
放送情報
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース ミュージカル「HEADS UP!」(2018年公演)
放送日時:2018年6月10日(日)16:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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