まるでハリウッド映画!?松平健が演じるかつてない吉宗が活躍する「暴れん坊将軍 800回記念新春スペシャル」
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⒞東映
人質の中にはめ組長次郎の姉・お凛(松金よね子)、御側御用取次である有馬彦右衛門(名古屋章)、六代将軍御台所・天英院(小林泉)らもいた。武装集団は、不祥事で取り潰された肥前桜木藩の元藩士たちで、お家再興の嘆願のために事件を起こしたのである。彼らは天守閣に大筒を備え付け、江戸市内に発砲の構えを取っていた。この未曾有の緊急事態に、吉宗は人質を解放させて、江戸城を奪還できるのか...。まるでハリウッドの大作映画を思わせる壮大なスケールのストーリーで、江戸城奪還という重大な使命を課せられた吉宗の奮闘が大きな見どころとなっている。
本シリーズの魅力は、大胆な設定とストーリーに加えて、オープニングテーマをはじめ音楽の素晴らしさなど多々あるが、やはり人気を不動のものとしたのは、松平健をはじめとするキャストが充実していたことが要因だろう。庶民に扮した「新さん」の場面で見せる軽妙さと対をなす、吉宗の威厳と強さが際立つ。クライマックスでの殺陣も見せどころだが、動きも太刀捌きも惚れ惚れするほど絵になっている。近年は「マツケンサンバ」等ですっかり親しまれる存在だが、彼こそ時代劇役者になるために生まれてきたような名優であり、まさに大物役者の貫禄がある。本作では傷だらけになりながら江戸城奪還に奮闘する姿が胸を打ち、迫力ある演技で魅了してくれる。
共演陣も魅力十分だが、特に「め組」の場面に登場する町人衆の魅力は特筆すべきだ。中でも初期からレギュラーとして番組を支えた、辰五郎を演じる北島三郎が素晴らしい。本業の歌はもちろん、舞台公演でも活躍した彼だけに、演技も抜群である。辰五郎役は北島を想定して書いたと思われるほど、すべてのセリフと立ち回りが見事にはまっている。歌手の仕事が最優先で、ドラマ出演は限られていた(時代劇のレギュラーは本作のみ)ため、北島の演技が堪能できることでも価値がある。後年は本シリーズでも準レギュラーという形だったが、このスペシャル版でも、北島の存在感は抜群だ。ほかの共演者では桜木藩の元家老で武装集団を率いる黒田典膳を演じる遠藤憲一も好演。近年はコミカルな役どころが多いが、本作での悪役ぶりは本当に板についている。
そんな「暴れん坊将軍」が17年ぶりに復活することも話題だ。「クローズZERO」の三池崇史が監督、大河ドラマ「青天を衝け」の大森美香が脚本を担当し、2025年1月4日よりテレビ朝日系で放送されることも決まった。ファンには嬉しい限りだが、時代劇専門チャンネルで放送される800回記念スペシャルもあわせて楽しんでほしい。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
暴れん坊将軍 800回記念新春スペシャル 江戸城乗っ取り!! 人質は百万人!? 危うし!八百八町が火の海に 主演:松平健
放送日時:1月1日(水)17:00~ ほか
放送チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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