20代の岡田将生蒼井優が対極ながら惹かれ合うキャラを演じた時代劇「雷桜」

俳優

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⒞2010「雷桜」製作委員会

幼い頃の記憶が張りついて悪夢ばかり見ている斉道が心を許しているのは家臣に昇格した瀬田助次郎(小出恵介)のみ。しかし、その瀬田にすら、気に触ることを言われると激昂し、刀を抜くため、家臣のトップである榎戸(柄本明)は瀬田の故郷である村で斉道を静養させることを命じる。瀬田から山奥には天狗がいると聞かされていた斉道は周囲が止めるのも聞かず、ひとりで山に入り、遊(蒼井)と出会う。

「女の天狗に会った」と言われ、それは幼い頃に生き別れた自分の妹に違いないと驚く瀬田。やがて斉道と遊は惹かれあい、斉道は馬に乗って山に行きこれまでに見せたことがない無邪気な笑顔を見せる。自分がうつけだとか病だと言われていることを気にしている斉道に「オマエはオマエだ」と返す遊。夕立の中、両手を広げ全身に雨を浴び、「里なんか大嫌いだ!」と絶叫するシーンも自然児そのもの。叫ぶように促され、恥ずかしそうに鬱憤を爆発させる斉道。キスというより"くちづけ"という表現がしっくりくるシーンも無自覚な純愛だからこそ切ない。

■身分の違いゆえ、引き裂かれていく二人の運命

⒞2010「雷桜」製作委員会

再会を誓い、斉道は江戸に帰っていき、遊は家族と暮らすようになったものの、綺麗な着物にも馴染めず山に入りびたり。娘の様子を案ずる母(宮崎美子)に「身分の違いとはなんだ」と食ってかかる。江戸で一途に遊のことを思いながらも、徳川家で自分が置かれている立場を理解している斉道と、世の中の常識とは無縁の場所で生きてきたため本能的で自分の気持ちに嘘がつけない遊。愛し合うことで周囲に起こる悲劇に声も出ないほどの悲しさを表現し、それでも斉道への愛を伝え続ける蒼井の憑依型の演技は後半にいくにつれ、迫力を増し、遊の生き方に憧れに近い感情も抱いていたであろう岡田の演技は対照的にやるせなさを増していく。雷で真っ二つに割れたにも関わらず、春には桜が咲き、秋には銀杏が色づく木の下でドラマを重ねた恋愛。若き日の岡田と蒼井だからこその一途な芝居と眩しさがスクリーンに刻まれている。

文=山本弘子

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放送情報【スカパー!】

雷桜 主演:岡田将生 /蒼井優
放送日時:1月3日(金)9:00~ 
放送チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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