深川麻衣×若葉竜也、映画『嗤う蟲』は視点ひとつで印象が変わる「いろんな見方ができる」

――それぞれが演じたキャラクターについてどんな印象を持たれましたか?

若葉「僕は輝道という人があまり好きではなく、いろんなことをヘラヘラごまかしてきた人なんだろうなという印象でした。ちょっと調べれば分かるようなことも調べようとしないし、知らないままじゃないですか。少し形骸的なものを感じていましたね」

深川「杏奈は意志がはっきりしていて、自分の感情と行動が素直に繋がっているタイプ。後半になってからは子供が生まれるのですが、母親として変化していく部分が大きいので、自分が子供を産んだことがない分、想像で補うしかありませんでした。ただ、その心境の変化はかなり大事な部分でしたので、監督に相談したり、お子さんを産んでるお友達に話を聞かせてもらいながら探っていきました」

――村人たちと夫妻のやりとりをご覧になってどんなことを感じましたか?

若葉「僕はこの夫妻に加害性を感じています。被害者みたいな顔をしているけど、村のルールも何も調べずに人の場所に土足で入り、めちゃくちゃにしているのはあの2人だと思うんですよ。この無自覚の加害性の方がちょっと恐ろしくて...。もちろん村人たちにも気味の悪さは感じるんですけど、少し被害者でもあるというか。この夫妻が入ってきたことで、壊れてしまったものもたくさんあるんだろうな、と思いました」

――秩序が壊れたと

若葉「そうなんですよね。めちゃくちゃにされたのは、この夫妻のせいなんじゃないかと思いました。どちらかというと、『無自覚の恐ろしさ』と対峙している村人たちがかわいそうに見えてきちゃいましたね」

――名優たちが演じる村人の演技にも鬼気迫るものがありました。皆さんの演技についてはどんなことを思われましたか?

深川「撮影をしていても、映画を見ても、皆さんインパクトがすごくて...。特にトモロヲさん​​は、私の引き出しにはまったくない言い回しだったり、アプローチだったりが(演技に)詰めこまれていました。トモロヲさん自身はすごく穏やかで誠実なお人柄なんですけど、田久保さんになったときに、気迫みたいなものを感じましたね」

若葉「トモロヲさんはパンクロッカーだからね」

深川「公民館のシーンでの休憩中、畳の真ん中に撮影で使う赤ちゃんの人形がポンと置いてあったんです。みんなでワイワイしているなか、さびしげに置かれている人形を見たトモロヲさんが『この世の無情ですね』とおっしゃっていて」

若葉「(笑)」

深川「その光景を見て、その言葉が出てくるワードセンスにシビれました。面白いし、言葉がユニークだなって」

若葉「人形は精巧に作られていて、手も自由に動くんですけど、気がついたら人形が中指を立てていました」

――(笑)

若葉「誰か人形で遊んでいるなと思ったらトモロヲさんでした(笑)」

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映画情報

映画「嗤う蟲」
2025年1月24日(金) 全国ロードショー
監督:城定秀夫
脚本:内藤瑛亮
出演者:深川麻衣、若葉竜也、松浦祐也、片岡礼子、中山功太、杉田かおる、田口トモロヲほか

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