深川麻衣×若葉竜也、映画『嗤う蟲』は視点ひとつで印象が変わる「いろんな見方ができる」

――この作品をご覧になってみて、一番心に響いた点を教えてください

若葉「恐怖とか村とかそういうことは関係なく、エンターテインメント性の高い作品の中に、現代の居心地の悪さだったり、気味の悪さだったり、同調圧力だったり...。そういったものが、しっかりメッセージ性として組み込まれているのが面白いなと思いました。作品を見て『あ、これがやりたかったのか』と、いろいろ納得しましたし、腑に落ちました」

深川「城定さんが撮影前から考えていた『どちらかを100悪人にしたくない』という思いがラストに繋がっていましたし、結末は母親としての強さを感じ取れるものになっていて素敵だなと思いました。スカッとしたラストではなく、言葉にできない複雑な気持ちが残る感覚が、新しくて好きだなと思いました」

――主軸となる夫妻の関係性について、お二人にはどう見えましたか?

若葉「逆にどう見えたのか気になります」

――今後も含めてうまくいくのかな、と心配になりました...

若葉「僕もそうです。輝道があの状況になるまで動かなかったことが問題で、この映画の元凶という感じがするんですよね」

深川「(輝道が)自分のことを信じてくれないとか、『なんで話を聞いてくれないんだろう』という不満とか、杏奈の気持ちもすごく分かるんです。でも、全体で見たら輝道も複雑な思いを抱えていたし、思考が整理できていないうちに、"そうするしかない"ことがあって...。すごくかわいそうだなと思いました」

若葉「杏奈も村人たちも、誰かのために、村のためにとアイデンティティを持って行動しているのに、(輝道は)この作品で唯一アイデンティティがない気がするんですよ。だからこそ気味悪く見えましたね」

――ここでもいろんな意見が飛び交うということは、ご覧になる方にもさまざまな思いが交錯しそうですね

若葉「そうですね」

深川「(村人とのシーンは)​​今でも鮮明に覚えているシーンがありますし、(気味が悪く感じる登場人物も)​​本当はあのとき"こうしたかったんじゃないか"と思うシーンもあって...決めつけることができないんですよ。若葉くんも言ったように、あの夫妻も最初は村が発展していく救世主に見えたかもしれないけれど、逆に"2人が来なかったらこうはならなかったかも"とも思えて...。本当にいろんな見方ができるし、切なさも感じる作品なんですよね」

写真・文=浜瀬将樹

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映画情報

映画「嗤う蟲」
2025年1月24日(金) 全国ロードショー
監督:城定秀夫
脚本:内藤瑛亮
出演者:深川麻衣、若葉竜也、松浦祐也、片岡礼子、中山功太、杉田かおる、田口トモロヲほか

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