人間味溢れる西田敏行と愛らしさ全開の戸田恵梨香の演技が物語を盛り上げる! ホームドラマ「俺の家の話」

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物語のキーパーソン・寿三郎を演じる西田敏行
物語のキーパーソン・寿三郎を演じる西田敏行

(C)TBSスパークル/TBS

西田が演じる寿三郎が最初に登場するのは、第1話冒頭の寿一の回想シーン。寿一たちに能を教えるシーンは堂に入っているし、廊下でスケボーをしている若い寿一を強く叱ったりと、人間国宝としてだけではなく、父としての威厳も感じられる。

しかし、長い時を経て寿一が再会した寿三郎は、意識なく病院のベッドで寝ている老人となっていた。病室にいた観山の長女・舞(江口のりこ)と次男・踊介(永山絢斗)の話では、寿三郎は2年前に脳梗塞で倒れ、下半身が麻痺しているという。それがきっかけとなって寿一は長男として父の跡を継ぐ決意をし、寿三郎も回復して退院するのだが、物語はとんでもない方向へと動き出す。

なんと寿三郎は介護ヘルパーのさくらにぞっこんで、結婚するというのだ。一門の人間が集まった会で、寿三郎は最初こそ厳かに挨拶をするものの、突然結婚の報告をした後は、さくらをそばに寄せてデレデレし始める。そういった変化が自然なのも西田ならではの"味"であり、その後の展開も楽しみになってくる。

西田は物語の中で、観山寿三郎としてさまざまな表情を見せる。自分の跡を継ぐ意志を見せた寿一に「継いでやる、じゃねぇだろ」と凄んだり、認知症のテストで答えが出てこない自分に困惑したり、また、認知症を自覚した後、夕日の中で人生が終わったかのような表情で佇むシーンなどは、寿三郎の気持ちがひしひしと伝わってきて切なくなるほどだ。

本作には、介護や死との向き合い方など、深いテーマも盛り込まれている。西田はそういった部分を体現する役どころだが、随所にコメディシーンが挟まれ、西田がそこでしっかりと空気を和ませてくれることで、シリアスになりすぎないのもポイントだろう。

■謎めいた女性から色香漂う女性へ、その変化が芳しい戸田恵梨香

戸田が演じるさくらは、危篤の寿三郎を寿一が見舞った時に登場する。コロナ禍の影響もあってマスクをしているが、パッチリした目元が印象的だ。寿三郎が結婚を発表した時には、その目で非常に愛らしい雰囲気を醸し出す。

しかし、紆余曲折を経て物語が進むと、さくらは寿一に心を奪われるように。シーンに合った雰囲気のある演技はもちろん、寿一を想うようになってからのさくらは見ていて心が桃色になるような、とても可愛い空気を纏うようになる。第5話でリングサイドから「好き」と言った時のいじらしい様子や、第6話で家族旅行中の寿一に会って甘えるシーンなども、とても魅力的なのだ。

寿一とさくらの関係はどうなってゆくのか。また、再び舞台に立つという寿三郎の願いは叶うのか。絶妙なテンポで展開するシナリオと、その魅力を増幅する西田、戸田ら出演者の演技を味わいながら、このハートフルなホームドラマを存分に堪能してほしい。

文=堀慎二郎

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放送情報【スカパー!】

俺の家の話
放送日時:2025年2月23日(日)12:00~[全話一挙放送]
チャンネル:TBSチャンネル2
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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