ストーリーは、のちにHey! Say! JUMPのメンバーとなる当時小学生の知念演じるケンイチとカンゾウの友情物語がベース。カンゾウが東京へ来てしばらくしたころ、各所で人々が謎の男に襲われ、次々と意識不明状態に陥るという事件が発生する。ある日ハイキングに出かけたカンゾウとケンイチは偶然にも山中にある連続傷害事件犯のアジトに足を踏み入れてしまう。

「ケンイチ氏(うじ)！」「ハットリくん！」と呼び合うカンゾウ＆ケンイチのどこか奇妙な共同生活は、時にケンカをしながらもゆっくりと距離が縮まっていく。「ハットリくんは友達だよね？ずっと一緒にいてくれるよね？」と聞くケンイチに「もちろんでござる」と笑顔を向けるカンゾウなど、そのかわいらしく微笑ましいやり取りは見ているだけで心が温かくなる。主(ケンイチ)のことを本気で想い、あえて厳しい言葉を投げかけるカンゾウの姿もグッと来るものが。香取の真っすぐでピュアな演技が本作を"キャラもの"だけでは終わらせない味わい深いものにしている。

無邪気で屈託のない役柄をやらせたら右に出る者はいない香取慎吾。社会現象となった"慎吾ママ"(本作には「おっはー」の小ネタも！)を経て、その後も"孫悟空"や"両津勘吉"など多くのキャラクターに扮することになる彼の振り切った演技が花開く本作を、頭を空っぽにして楽しみたい。

文＝川倉由起子